かつて山市良と呼ばれたおじさんのブログ

vol.4 推奨パーティション構成でクリーンインストールするには

2024年04月17日配信
2024年04月17日更新
執筆者:山内 和朗

 前回説明したように、2024年1月にリリースされたWinREのセキュリティ更新プログラム「KB5034439(外部サイト)」をWindows Server 2022(デスクトップエクスペリエンス)にインストールしようとすると、クリーンインストールで自動作成された既定のパーティション構成の場合、空き領域の不足によりインストールに失敗します。前回はWindowsパーティションを縮小して空き領域を確保し、より大きな回復パーティションに再作成する手順を説明しました。

 

 今回は、Windowsセットアップにパーティション作成を任せるのではなく、WinREの更新を想定した余裕のあるパーティション構成でクリーンインストール(新規インストール)する方法を、Windows Server 2022を例に説明します。Windows Server 2016やWindows Server 2019は、回復パーティションがディスクの先頭にある古いパーティション構成が既定ですが、同じ方法で推奨パーティション構成でインストールすることができます

 

パーティション作成のDISKPARTスクリプトはMicrosoftから拝借

 

 WindowsセットアップでWindowsのインストール先として「ドライブX(通常、0)の割り当てられていない領域」を選択してインストールを進めると、Windowsセットアップがパーティション構成を自動作成します(画面1)。現在のWindows 10/11やWindows Server 2022は、回復パーティションがWindows(OS)パーティションのすぐ後ろ、ディスクの最後尾に配置されますが、自動作成されたパーティション構成はWinREの更新を想定していないため()、次のWinREの更新(累積更新プログラムや機能更新プログラムによる更新)のためには容量不足になる可能性があります。Windows Server 2019以前のWindows Serverの場合は、回復パーティションがディスクの先頭に配置される古いパーティション構成でインストールされてしまいます。

 

※ Windows 10/11、Windows Server 2022のクリーンインストールで確認した限り、最近の Windows セットアップは、インストールメディアに収録されているWinREイメージ(winre.wim)のサイズ+84MBの空き領域を確保するように、回復パーティションのサイズを決定しているようです。

画面1
画面1 Windowsセットアップにパーティション作成を任せてしまうと、次のWinREの更新には容量不足になる可能性がある

 

 Windowsのインストールに必要なパーティションを手動で作成するには、コマンドプロンプトで「DISKPART」コマンドを実行します。Microsoftは、汎用的なDISKPARTクリプト「CreatePartitions-UEFI.txt(外部サイト)」を以下のドキュメント内のリンク先で提供しているので、それを利用するのが早道です。

注:このブログのこのシリーズではUEFIベースのシステムのみを対象としています。BIOSベースのシステムの場合は手順が若干異なりますが、説明しません。

UEFI/GPT ベースのハード ドライブ パーティション
https://learn.microsoft.com/ja-jp/windows-hardware/manufacture/desktop/configure-uefigpt-based-hard-drive-partitions#to-partition-hard-drives-and-prepare-to-apply-images

 DISKPARTスクリプトをコピーしたら、任意の場所に「CreatePartitions-UEFI.txt」というファイル名でUSBメモリなどに保存します。このサンプルは500MBの回復パーティションを作成するように書かれていますが、例えば1GB(1024MB)にしたい場合は、「shrink minimum=500」の行を「shrink minimum=1024」と書き換えて上書き保存します(画面2)。

画面2

画面2 DISKPARTスクリプトをコピーして、作成する回復パーティションのサイズを調整し、「CreatePartitions-UEFI.txt」というファイル名で保存する

 

WinPEのコマンドプロンプトでパーティションを作成し、OSをインストール

 

 あとは、パーティションを作成するデバイスにこのスクリプトファイルを持って行って以下のコマンドラインを実行すれば、パーティションの作成は完了です。

DiskPart /s <パス>¥CreatePartitions-UEFI.txt

 とはいえ、ベアメタルなデバイス(ディスクがまっさらなデバイス)にいつどこでコマンドプロンプトを開いて、DISKPARTスクリプトを実行すればよいのか分からないかもしれません。

 WindowsやWindows Serverのインストールメディアからベアメタルなデバイスを起動すると、Windowsセットアップが起動します。Windowsセットアップで「今すぐインストール」をクリックする前に、[Shift]+[F10]キーを押してみてください。これで、コマンドプロンプト(cmd.exe)を呼び出すことができるので、そこでDISKPARTスクリプトを実行できます(画面3)。このコマンドプロンプトは、WinREのコマンドプロンプトと同じ、Windowsプレインストール環境(WinPE)のコマンドプロントです。なお、X:ドライブはWinPEのバイナリ(X:¥Windows)を含むRAMディスクであり、一時ディレクトリとしてドライブルート(X:¥)を含め書き込み可能なので、DISKPARTスクリプトをコピーすることができます(再起動するとX:ドライブに書き込んだものは失われます)。

画面3
画面3 Windowsセットアップが起動したら、「今すぐインストール」をクリックする前に、[Shift]+[F10]キーを押し、コマンドプロンプトでDISKPARTスクリプトを実行する

 DISKPARTスクリプトの実行が終わったら、「EXIT」と入力してコマンドプロンプトを閉じ、Windowsセットアップに戻り、「今すぐインストール」をクリックしてインストールを先に進めます。「オペレーティングシステムをインストールする場所を指定してください」の画面では、事前に作成しておいたWindowsパーティション(通常、ドライブ0 パーティション 3)を選択し、あとは通常通りインストールを進めます(画面4)。

vol04_scr04
画面4 Windowsパーティション(通常、ドライブ0 パーティション 3)を選択してインストールする

 

カスタムパーティション構成にインストールした結果は?

 

 画面5は、今回の方法で回復パーティション1GBのカスタムパーティション構成でWindows Server 2022(デスクトップエクスペリエンス)をクリーンインストールし、Windows Updateで更新プログラムが検出されなくなる状態まで更新したものです。WinREのセキュリティ更新プログラムは、エラーなく成功しているのが分かるでしょう。

画面5
画面5 回復パーティション1GBのカスタムパーティション構成でクリーンインストールした場合、WinREのセキュリティ更新プログラムはエラーになることがない

 次回は、Windows Server 2019以前を実行する既存のデバイスで回復パーティションを拡張する方法を探ります。Windows Server 2019以前のWindows Serverの既定では、回復パーティションがディスクの先頭にあり、簡単に拡張することができません(画面6)。拡張できるようにするには、回復パーティションを最後尾に移動する必要があるのですが、これが少し難題です。

 

画面6
画面6 ディスクの先頭にある回復パーティションを最後尾に移動する方法とは?

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