セイテクエンジニアのブログ かつて山市良と呼ばれたおじさんのブログ メモ. 最新Hyper-Vの「仮想マシンの新規作成ウィザード」の残念なバグ|Windowsトラブル解決
2025年01月10日配信
執筆者:山内 和朗
Windows Server 2025およびWindows 11バージョン24H2のHyper-Vでは、「仮想マシンの新規作成ウィザード」で作成する仮想マシン(VM)の世代の既定が「第2世代」に変更されました(画面1)。しかし、ウィザードをそのまま進めると、「第1世代」用のインストールオプションが表示されるという不具合があります。インストールオプションとして第2世代がサポートしないオプションを選択すると、VMの作成に失敗します。
画面1 VMの世代の既定はWindows Server 2025 Hyper-Vから「第2世代」に変更された
Hyper-VのVMの世代は、インストールできるゲストOSや使用できる(仮想)デバイス、ブート方法に違いがあります。第1世代はBIOSベースのシステムで、広範囲のゲストOSに対応しています。一方、第2世代のVMはセキュアブートに対応し、TPM 2.0を備えたUEFIベースのシステムです。第1世代のVMは、IDEコントローラー接続のVHD/VHDX、ISOイメージ、物理CD/DVDメディア、PXEブート(レガシネットワークアダプターを使用)、および仮想フロッピーディスク(.vfd)からのブートに対応しています。一方、第2世代のVMは、SCSIコントローラー接続のVHDX、ISOイメージ、PXEブート(標準のネットワークアダプターを使用)からのブートに対応しています。
VMの世代|Windows Server(Microsoft Learn)
Windows Server 2025のHyper-Vで第2世代のVMを新規作成したときに、何か違和感を感じました。本来表示されないはずのオプションが表示されたからです。
第2世代のVMは、VHDからのブートや物理CD/DVDドライブの割り当てをサポートせず、仮想フロッピーディスク(.vfd)を割り当て可能なフロッピーディスクドライブのデバイスを備えていません。しかし、「世代の指定」を既定のままウィザードを進めると、「仮想ハードディスクの接続」と「インストールオプション」ページに、第2世代のVMではサポートされないはずのオプションが表示されるのです(画面2、画面3)。
画面2 第2世代のVMでは、VHDの割り当てはサポートされていないはず
画面3 第2世代のVMでは、物理CD/DVDドライブや仮想フロッピーディスクからのインストールはサポートされていないはず
そして、第2世代のVMでサポートされないオプションを指定してVMを作成した場合、例えば、物理CD/DVDドライブの割り当てや仮想フロッピーディスク(.vfd)を割り当てた場合、仮想マシンの作成は失敗します(画面4)。
画面4 第2世代のVMでサポートされないオプションを使用すると、VMの作成に失敗する
第2世代のVMでサポートされないオプションを理解しているのであれば、そのようなオプションを使用せずに、VMを作成してください。世代の違いについて詳しくないという場合は、次の方法で問題を回避できます。
「仮想マシンの新規作成ウィザード」の「世代の指定」のページに進んだら(または戻って)、「第1世代」を選択して切り替え、もう一度、「第2世代」を選択し、ウィザードを進めます(画面5)。すると、第2世代用の正しいオプションが表示されるようになります(画面6)。
画面5 「世代の指定」ページで、既定の「第2世代」を「第1世代」に変更し、もう一度「第2世代」を選択する
画面6 第2世代用の正しいオプションが表示されるようになる
ちなみに、第2世代のVMのSCSIコントローラーにVHDを割り当てた状態でISOイメージからゲストOSをインストールしてみましたが、VHDからのブートは可能でした。ただし、これはサポートされない使用方法の可能性があります。
しかし、UEFIが主流になった今、VMの世代の既定値を第2世代に変更するのはもっともなことですが、その変更の影響も調査して、ちゃんとしてください。New-VMコマンドレットの既定は第1世代(-Generation 1)のまま変わりありません。