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vol.86 Windows Serverバックアップのカタログから不要なバックアップ情報を削除する|Windowsトラブル解決

2025年02月25日配信
2025年04月23日更新
執筆者:山内 和朗

 昨年11月末に始まった「Windows Server 2025大特集」シリーズは、前回(vol.85)、オンプレミスのラボ環境をWindows Server 2025にアップグレードして、ひとまず完結としました。しかし、万が一に備えて共有フォルダーにバックアップしておいたバックアップのクリーンアップ作業時に日本語環境固有の問題に遭遇したのでレポートします。

 

リモート共有上の不要なバックアップは手動で削除する必要あり

 

 Windows Server 2022を実行する物理サーバーをWindows Server 2025にインプレースアップグレードする直前に、ローカルディスクへの毎日のスケジュールバックアップとは別に、リモートのSMB共有にベアメタル回復(BMR)用のバックアップを取得しました。万が一のときに復旧方法が複数あるほうが安心だったからです。


 インプレースアップグレードは無事成功しました。その後、毎日のスケジュールバックアップ(ローカルおよびAzure Backup)がWindows Server 2025で問題なく実行されていることを確認した上で、もはや不要になったSMB共有に取得しておいたバックアップは削除してよいと判断しました(画面1)。

 

画面1 Windows Server 2025にインプレースアップグレード後のローカルディスクとAzure Backupへのスケジュールバックアップも問題ないので、リモート共有(¥¥コンピューター名¥共有名)上に取得しておいたバックアップを削除したい
画面1 Windows Server 2025にインプレースアップグレード後のローカルディスクとAzure Backupへのスケジュールバックアップも問題ないので、リモート共有(¥¥コンピューター名¥共有名)上に取得しておいたバックアップを削除したい

 先に言っておくと、「Windows Serverバックアップ」や「WBADMIN」コマンドを使用して、リモート共有上のバックアップを削除する方法はありません。ローカルバックアップであれば「wbadmin delete backup」コマンドで削除できますが、コマンドのヘルプ(wbadmin delete backup -?)でははっきりしないものの、リモート共有上のバックアップの削除には対応していません。Microsoft Learnのコマンドリファレンスには、「wbadmin delete backup」コマンドの説明はありません。しかし、実際にコマンドを実行してみればわかりますが、「リモートの共有フォルダーにあるバックアップは削除できません」とエラーが表示されます。そこで、手動で共有上からバックアップディレクトリ(WindowsImageBackupまたはWindowsImageBackupの下のコンピューター名フォルダー)をディレクトリごと削除しました(画面2)。

 

画面2 WBADMINコマンドではリモート共有上のバックアップを削除することはできないので、手動でバックアップ先から削除する
画面2 WBADMINコマンドではリモート共有上のバックアップを削除することはできないので、手動でバックアップ先から削除する

 

バックアップカタログに残る情報を削除するには

 

 リモート共有から手動でバックアップを削除したとしても、「Windows Serverバックアップ」の「すべてのバックアップ」や「wbadmin get versions」の一覧(バックアップカタログ)には、削除したバックアップの情報が残ります。これを削除するにはコマンドプロンプトまたはPowerShellウィンドウを開いて以下のコマンドラインを実行し、バージョン識別子を確認した上で、バックアップカタログからバックアップのエントリを削除する必要があります。リモート共有上のバックアップはその存在の有無に関係なく、「-keepversions:<保持する数>」や「-deleteOldest」では削除できないことに注意してください。

 

wbadmin get versions
wbadmin delete backup -versions:<バージョン識別子>

 

 そして、日本語環境で上記のコマンドラインをリモート共有上のバックアップ(存在しない場合でも)に対して実行すると、目を疑う、というか操作を戸惑う日本語に遭遇します(画面3)。以下のプロンプトにどう答えればいいのでしょうか。とりあえず「」と入力して進めたところ、バックアップ情報を削除することができました。後で確認したところ「」でも削除されたように見えました。

 

“バックアップの保存場所を利用できないため、バックアップを削除できません。カタログからこのバックアップのエントリを削除しますか? (この操作を実行しても、保存場所の空き領域は増えません。)
[は] はい [い] 同様のすべてのエラーで削除する [い] いいえ [い] 同様のすべてのエラーで削除しない ”

 

画面3 リモート共有上のバックアップの削除失敗エラーに続くメッセージがおかしい
画面3 リモート共有上のバックアップの削除失敗エラーに続くメッセージがおかしい

 Windows Server 2025英語版で再現させてみたところ、次のようなメッセージでした。「Y」または「E」でバックアップ情報を削除、「N」または「O」で削除しないという選択肢でした。

“The backup cannot be deleted because the backup storage location is not available. Do you want to delete the entry of the backup in the catalog? (This option will not free space on the storage location.) 
[Y] Yes [E] Yes for all similar errors [N] No [O] No for all similar errors”

 この問題がWindows Server 2025日本語版のローカライズの問題なのかどうか、Windows Server 2022日本語で同様に再現してみました。どうやら、以前のバージョンから存在する問題だったようです(画面4)。

 

画面4 Windows Server 2022日本語版も同じ問題が存在した。ちなみに「は」と「い」のどちらを入力しても情報は削除された
画面4 Windows Server 2022日本語版も同じ問題が存在した。ちなみに「は」と「い」のどちらを入力しても情報は削除された

 この問題に遭遇するのはレアなケースに思われるかもしれませんが、リモート共有のバックアップを管理する場合はそうではないかもしれません。バックアップカタログから不要なバックアップエントリを削除するには、上記の方法を実行するか、「wbadmin delete catalog」を実行してバックアップカタログすべてをクリアする必要があるからです。

※この問題についてはMicrosoftにフィードバック済です(フィードバックHub)。賛成票をお待ちしています。

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