Microsoftは2024年7月12日（米国時間）、2024年6月下旬にWindows 11バージョン22H2/23H2向けにリリースしたオプションの更新プログラム（更新プログラムのプレビュー）以降、「Windows Update Agent（WUA) API」の使用で問題が発生することを公表し、KIR（Known Issue Rollback）による問題緩和措置を講じました。
The June 2024 preview update might impact applications using Windows Update APIs｜Windows message center（Microsoft Learn）
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この問題は2024年7月25日リリースのオプションの更新プログラム（更新プログラムのプレビュー）「KB5040527」OSビルド22621.3958および22631.3958）以降で修正されました。
このブログの読者ならお馴染みのWUA APIに赤信号！？
Windows Update（で提供された更新プログラム）が、Windows Update Agent（WUA） APIに異常を引き起こしました。この問題は、2024年6月25日（米国時間）にWindows 11バージョン22H2/23H2向けにリリースされた、新たなセキュリティ更新を含まないオプションの更新プログラム（更新プログラムのプレビュー、Cリリースとも呼ばれます）の「KB5039302」（Microsoftサポート）で確認され、問題が修正されないまま、7月のセキュリティ更新プログラムを含む「KB5040422」（Microsoftサポート）がリリースされました。
WUA APIについては、このブログで何度も取り上げてきました。古いWindowsバージョンから、最新のWindowsバージョンまで変わらず使える更新手段として紹介したのですが、Windowsの更新プログラムの問題がその更新を扱うWUA APIにまで及ぶとは思いもしませんでした。
メモ. 再起動が完了するまでがWindows Updateのインストール
メモ. Windows Update補完計画、フェーズ2
メモ. Windows Update補完計画、フェーズ2.1
上記のブログ記事では、Microsoft提供のサンプルスクリプト「WUA_SearchDownloadInstall.vbs」やその改造版を利用してきましたが、これらのスクリプトは6月25日～7月12日（米国時間）の間、利用可能な更新プログラムを検索しようとすると、「要素が見つかりません」エラーで終了するという問題がありました。PowerShellのスクリプトからWUA APIを使用して更新プログラムを検索しようとすると、同様のエラー（0x8002802B (TYPE_E_ELEMENTNOTFOUND) ）で終了します（画面1）。この問題は、WUA APIを使用して利用可能な更新プログラムを検索、ダウンロード、インストールしようとする場合に検索時に影響します。また、WUA APIを使用して、不足している更新プログラムをチェックを行う場合も影響します。
この問題は、Windows Updateを使用して更新されるデバイスであれば「KIR（Known Issue Rollback）」という仕組みで、7月12日（米国時間）以降、Windows Updateを通じて自動的に解消されます。
画面1 Microsoft提供のサンプルスクリプト「WUA_SearchDownloadInstall.vbs」やWUA APIを使用するPowerShellスクリプトがエラーで終了するという問題がしばらく続いていたが、KIRが適用されることで自動解消（この例では各スクリプトの2回目の実行で解消）
KIRが適用されないデバイスは、グループポリシーで回避が必要
企業の管理されたデバイスの場合で、KIRが適用される環境にない場合、例えば、Windows Updateではなく、「Windows Server Update Services（WSUS）」で更新されるデバイスや、WUA APIを使用して更新されるデバイスなどの場合、現状、この問題が自動的に解消することはありません。KIRが適用されないデバイス、つまり、この問題の影響を引き続き受けているデバイスについては、以下のグループポリシー設定をダウンロードして、企業内のデバイスに展開する必要があるので注意してください（画面2）。
Windows 11 22H2 KB5039302 240711_20301 Known Issue Rollback（.msi）｜Microsoft Download Center
画面２ KIRが適用されないデバイスについては、グループポリシーで展開することで問題を緩和できる
KIRはあくまでも問題が根本的に修正されるまでの一時的な回避策です。Microsoftはこの問題の解決にむけて引き続き作業しており、今後の更新プログラムのリリースで修正され次第、KIRは不要になります。しかし、こんなことは考えたくもありませんが、MicrosoftがWUA APIのエラー問題の解決をあきらめ、今後のWindows 11やWindows Serverの次のバージョン（2025）の新たな仕様（Windows 11ではWUA APIはサポートされないなど）にする可能性も否定できません。WUA APIとは関係ありませんが、そのような無慈悲な対応が行われたことが過去にあります（例: 旧ブログの記事で説明している「ソフトウェアの制限のポリシー」《その後、Windows 10では非サポートに》や将来の更新で解決するとしていた問題を強引に解決済みにしたこちらの記事）。
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この問題は2024年7月25日リリースのオプションの更新プログラム（更新プログラムのプレビュー）「KB5040527」OSビルド22621.3958および22631.3958）以降で修正されました。
