このブログで最初に注目したWindows Updateの問題。WinREのセキュリティ更新プログラムのインストールに失敗するという“既知の問題”のステータスが5月1日朝（日本時間）、ようやく“解決済み”になりました。しかし、ステータスは“解決済み”になりましたが、新たな措置が行われたわけではなく、根本的に解決されたわけでもありません。

WinREの更新失敗問題とは...

　Windows回復環境（Windows Recovery Environment≪WinRE≫）の更新失敗問題とは、Windows 10バージョン21H2、22H2、Windows 11バージョン21H2、およびWindows Server 2022に対して2024年1月にリリースされたセキュリティ更新プログラム（KB5034440、KB5034441、KB5034439《外部サイト》）が、特定の環境、それもおそらく多くの環境において、インストールに失敗し、その後もWindows Updateの度に失敗を繰り返すという問題です。このブログの開始直後から時間をかけて取り上げてきた問題あり、エラー発生時の回避策や、エラー発生前からできる回避策を紹介してきました。

　Microsoftは、2024年4月30日（米国時間、日本時間では5月1日7時頃）付けで、このWinREの更新失敗という既知の問題のステータスを、「Mitigated（軽減）」から「Resolved（解決済み）」に変更しました。5月2日時点で日本語サイトにはまだ反映されていません（画面1）。

Windows メッセージ センター｜2024 年 1 月のWindows RE更新プログラムのインストールに失敗する場合があります（日本語）
Windows Message Center｜The January 2024 Windows RE update might fail to install（英語）


画面1　WinREの更新失敗問題のステータスが「解決済み（Resolved）」に（下のページ）。日本語サイトには5月3日にようやく反映

Microsoftが示した解決策、それは前日までの回避策

　Microsoftが示した解決策は驚きのものでした。前日まで「Workaround（回避策）」として示していたもの、それは、このブログの読者ならお分かりだと思いますが、WinREが格納されている回復パーティションのサイズの拡張です。前日までは（日本語サイトでは今でも）「次の手順: 解決に取り組んでおり、今後のリリースで更新プログラムを提供します。」としていましたが、この問題を自動的に解決する何らかの措置を提供することをMicrosoftは断念したようです。

Resolution: Automatic resolution of this issue won't be available in a future Windows update.Manual steps are necessary to complete the installation of this update on devices which are experiencing this error.（解決策: この問題の自動解決は、今後の Windows 更新プログラムでは利用できません。 このエラーが発生しているデバイスにこの更新プログラムのインストールを完了するには、手動の手順が必要です。）

　つまり、この既知の問題は「解決済み」とされましたが、特定の状況下でエラーが発生する状況に変化はありません（画面2）。もし、WinREの更新失敗問題に悩まれている方は、このブログのvol.1～vol.6をご覧ください。具体的な解決策が必ず見つかります。

画面2　WinREの更新失敗問題が「解決済み」になっても、問題が自動的に解決することはない（画面は回避策を講じていないWindows 10バージョン22H2の5月1日朝のWindows Updateの結果）

最新情報（2024年8月）

　MicrosoftはWinREのセキュリティ更新プログラム（KB5034440、KB5034441、KB5034439《外部サイト》）を廃止したことを、2024年8月13日（米国時間）に発表しました。これらの更新プログラムは2024年8月以降、インストール対象として検出されることはなくなります。ただし、提供条件を見直した更新プログラム（KB5042320、KB5042321、KB5042322《外部サイト》）に置き換えられ、特定の条件に基づいてWindows Updateを通じて提供されることになります。