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ITニュース. 2024年最後のWindows Update、2025年はWindows 10ラストイヤー

2024年12月12日配信
2025年04月11日更新
執筆者:山内 和朗

 Microsoftは2024年12月10日(米国時間)、Windows Update、Windows Server Update Services(WSUS)、Microsoft Updateカタログを通じて、今年最後の品質更新プロラムをサポート対象のWindowsに対してリリースしました。2025年はWindows 10の製品サポート終了という重要なイベントが控えています。まだWindows 10デバイスが残っているという場合は、対処方法を決定しなければなりません。

 

2024年12月のDリリースはなし=2025年1月のBリリースは要監視!

 

 Microsoftは毎月、新たなセキュリティ更新およびセキュリティ以外の更新を累積した品質更新プログラム(単に、セキュリティ更新プログラムと呼ぶこともあります)を、Windows Update、Windows Server Update Services(WSUS)、Microsoft Updateカタログを通じて、毎月第2火曜日(通常、太平洋標準時≪PST/PDT≫AM10時)にリリースします。※1 これをBリリースと呼ぶこともあります。そして、Windows 10バージョン22H2とWindows 11バージョン22H2以降に対しては、セキュリティ以外の新たな更新を累積したオプションの品質更新プログラム(更新プログラムのプレビューと呼ぶこともあります)を、Windows UpdateおよびMicrosoft Updateカタログを通じて、毎月第4火曜日にリリースします。こちらはDリリースと呼びます。

※1 日本時間では時差の関係で翌水曜日のAM3時に利用可能になりますが、第3水曜日ではなく、第2火曜日の翌日と覚えてください。

 

Windows クライアントのリリース サイクルを更新する|Windows(Microsoft Learn)

 

 2024年12月10日(PST/PDT)は、2024年12月のBリリースでした。12月後半はホリデーシーズンとなるため、昨年までと同様に、12月はDリリースはありません。緊急の定例外の更新プログラムがリリースされない限り、12月のBリリースが2024年最後の品質更新プログラムとなります。Windows Updateの更新サイクルは、2025年1月14日(PST/PDT)のBリリースから通常に戻ります。

Windows メッセージ センター|Windows(Microsoft Learn)

 Dリリースは、セキュリティ以外の新機能が追加されたり、既知の不具合の修正が行われたりします。それをいち早く導入したいというWindows 10/11のユーザーは、手動で(またはすぐに受け取るオプションをオンにすることで)受け取ることができます。一方、Microsoft(開発側)にとってDリリースの提供は、更新プログラムの問題の情報を収集したり、不具合のフィードバックを取得したりと、更新プログラムの品質をテストする意味合いが大きいはずです。

 12月のDリリースがないということは、十分にテストされていないセキュリティ以外の更新が2025年1月のBリリースに含まれて提供される可能性を示唆しています。2025年1月のBリリースについては、更新前後でシステムの動作に問題が発生していないかどうか確認したり、更新前にMicrosoft提供の既知の問題を確認するなどして、慎重に対応することをお勧めします。Bリリースには、Microsoft 365 Appsの更新バージョンもリリースされます。Windowsだけでなく、Microsoft 365 Appsについても同じように対応するべきです。

 1月の更新プログラムで大きな問題が発生したことは、過去に何度かあります。例えば、このブログで最初に取り上げた、Windows回復環境(WinRE)の更新エラーの問題は、2024年1月のBリリースがきっかけでした。

 

2025年にサポートが終了するMicrosoft製品、Windows 10は“製品”が終了

 

 Microsoftは固定ライフサイクルポリシー(最長10年)またはモダンポリシーに基づいて、製品とサービスのサポートを提供しています。2025年中にサポートが終了する製品とサービスについては、以下のサイトで確認することができます。

2025 年のサポート終了|Microsoft ライフサイクル(Microsoft Learn)

 2025年中にサポートが終了するクライアント/サーバー製品として、メジャーなものでは次の製品があります(日付はサポート終了日)。

 

  • Windows 11 Home/Proバージョン23H2(2025年11月11日)
  • Windows 11 Enterprise/Educationバージョン22H2(2025年10月14日)
  • Windows 10 Home/Pro/Enterprise/Educationバージョン22H2(2025年10月14日)
  • Microsoft Office 2016/2019(2025年10月14日)
  • Microsoft Exchange Server 2016/2019(2025年10月14日)
  • Microsoft Configuration Managerバージョン2309(2025年4月9日)
  • Microsoft Configuration Managerバージョン2403(2025年10月22日)


 固定ライフサイクルポリシーでは、通常、5年のメインストリームサポートとさらに5年の延長サポートの、計10年の長期サポートが提供されますが、Office 2019(永続ライセンス版)では延長サポートが2年に短縮され、Office 2021以降は5年のメインストリームのみとなりました。そのため、Office 2016とOffice 2019は2025年10月14日に同時にサポートが終了します。なお、サポート終了日に時差の影響はありません。各国の現地時間でその日にサポートが終了します(日本ではサポート終了日の翌日に最後のセキュリティ更新プログラムが提供されることになります)。

 Exchange Server 2016/2019も同じ2025年10月14日にサポートが終了します。Microsoftは、Exchange Serverの後継として、年に2回のリリースサイクルで提供される「Exchange Server Subscription Edition(SE)」を用意しており、2025年第3四半期リリース予定をしています。Exchange Server SEには、Exchange Server 2019 CU15(2024年後期リリース予定ですが、2025年1月上旬に延期されました)からのインプレースアップグレードが可能です。

Exchange Server 2019 に関する更新(2024.12.10)|Japan Exchange & Outlook Support Blog(Microsoft)
Exchange Server ロードマップの更新(2024.7.25)|JJapan Exchange & Outlook Support Blog(Microsoft)

 Windows 11については、24か月(Home/Pro)または36か月(Enterprise/Education)のモダンポリシーの下でのサービス終了です。一方、Windows 10は、固定ライフサイクル/モダンポリシーに関係なく、“Windows 10という製品”としてのサポート終了になります。これは、2021年10月にWindows 11が正式リリースされたときに発表されており、延期はありません。

Windows 10、Windows 8.1、Windows 7 のサポート終了について|Windows(Microsoft)

企業向けWindows 10 ESUの販売開始、今回は個人向けもあり!

 

 Microsoftは企業向けに、Windows 7のサポート終了の時と同様に、サポート終了後も最大3年間セキュリティ更新プログラムを受け取ることができる有料の年間サブスクリプション「拡張セキュリティ更新プログラム(ESU)」を、Windows 10に対しても用意します(Windows 8.1向けのESUは提供されませんでした)。Microsoftは今回、個人ユーザーに対してもESUの年間サブスクリプションを提供します。その最終的な価格や登録条件については、Microsoftから発表で確認してください。

 公式ブログの発表によると、ボリュームライセンスでは、2024年11月1日から従来の5-by-5ライセンス(ライセンス認証キー)の販売がはじまったようです。企業向けESUの価格は1年目が61米国ドル/デバイス/年で、2年目は1年目の倍、3年目はさらに倍(1年目の4倍)と増額され、1年ごとに購入する必要があります。企業向けにはこのほかに、ディスカウント(~25%)価格で提供されるクラウドベースのESUがMicrosoft IntuneやWindows Autopatchに用意される予定ですが、詳細については今後発表されることになっています。個人向けESUの価格は1年目が30米国ドル/デバイス/年で、プログラムへの登録は2025年10月のサポート終了までに利用可能になるそうです。2年目以降の価格や詳しい登録条件は発表されていません。

Windows 10用の拡張セキュリティ 更新 (ESU) プログラム|Windows(Microsoft Learn)
When to use Windows 10 Extended Security Updates|Windows IT Pro Blog(Tech Comunity)
How to prepare for Windows 10 end of support by moving to Windows 11 today|Windows Blog(Microsoft)

Windows 10 ESUは移行までをつなぐ暫定措置

 

 ESUはもともと、製品サポート終了後もその製品を実行する必要がある顧客向けに用意された最終手段であり、サポートされている新しいプラットフォームに移行する際のセキュリティの維持を目的とした暫定的な措置です。ESUの価格が毎年倍増するのは、移行を加速させるためのことでしょう。多数のWindows 10デバイスを抱える企業や組織は、ESUを利用しながら、新しいプラットフォームへの移行を進めることによって、単にESUで延命するよりもコストの負担は軽くなります。

 重要なことは、ESUが製品サポートを延長するものではないということです。ESUの更新プログラムには、新機能や顧客から要求されたセキュリティ以外の更新プログラム、設計変更は含まれません。ESUによって、製品のライフサイクルが延長されるわけでも、製品のライフサイクルを超えて技術サポートが延長されるわけでもありません(サポートは、ESUのインストールやライセンス認証の問題、ESUに起因する問題、OSの既知の問題の解決支援に限定されます)。

 個人の場合はESUの価格は企業向けに比べて低く抑えられていますが、ESUにお金を支払って、遅いパフォーマンスを我慢しながら使い続けるよりも、新しいデバイスに乗り換えるコストの一部に振り向けたほうが、長期的に見て経済的かもしれません。Windows 11登場直前に購入したデバイスで、たまたまTPMを搭載していなかっただけでWindows 11にできなかった高性能なデバイスなら、ESUにお金を支払って延命する価値は、心情的にも、環境的(もったいない)にもあるかもしれません。

 

前月末、フェイクニュースでWindows 10ユーザーがざわつく

 

 ところで、2024年11月の後半に、“MicrosoftがWindows 11のハードウェア要件を緩和し、これまで対象外だった旧型PCへの対応を広げた”みたいな根拠不明のニュース記事が出回りました。

 

 問題の記事が根拠にしたのは2024年11月12日(この記事執筆時点)に更新された次のサポート情報だと思うのですが、どこをどう読めば“ハードウェア要件を緩和”なのか理解できませんした。このサポート情報は2021年月17日に最初に公開され、何度か更新されてきたものです。インターネットアーカイブサイトで10月時点の内容と比較してみたのですが、「does not」を「doesn't」に、「is not」を「isn't」になど、表現が少し変わっただけで、内容に大きな違いはありませんでした。

Installing Windows 11 on devices that don't meet minimum system requirements|Microsoftサポート(Microsoft)
(日本語ページはこちら

 このサポート技術情報は、ハードウェア要件の緩和についてはもちろん書かれておらず、何らかの方法(Microsoft提供のものを含む)で最小システム要件を満たしていないデバイスにWindows 11をインストールした場合に適用される免責事項(簡単に言うとサポートされない)を説明しているだけのものです。また、Microsoftは12月初め、ハードウェア要件に変更がないことを強調するかのように、Windows 11の最小システム要件の1つであるTPM 2.0がいかに重要であるか、改めて説明するブログを公開しました。

 

TPM 2.0 ー a necessity for a secure and future-proof Windows 11|Windows IT Pro Blog(Tech Community)

 もし問題の記事を読んで、それを信じてしまった人がいたとしたら、今すぐ忘れてください。掲載したサイトは数日でひっそりと削除し、無かったことにしたようです。

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