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vol.35 ローカルバックアップは超簡単|ラボ環境 in オンプレを作る(3)

2024年08月19日配信
執筆者:山内 和朗

 Azure上に構築したラボ環境と同等のものを、オンプレミスの検証用サーバー機に構築できました。今回は、そのラボ環境のバックアップについて検討し、導入します。バックアップの目的は、ラボ環境を提供するHyper-VホストのOS環境、および唯一のアプリケーションであるHyper-V、つまりHyper-Vの設定、作成済みの仮想マシン(Hyper-V VM)、およびVMテンプレートのバックアップ保護です。

 

Windows Serverバックアップによるローカルバックアップ

 

 前々回に説明したように、検証用サーバー機は960GB SSD×4台のストレージ構成です。うち1台はOS用ディスク、残りの2台を使って記憶域スペース(シンプル)でボリューム(E:)を作成し、Hyper-V VMやその他のデータの格納用に使用しています。残る1台は、バックアップ専用に使用します。

 Windows Serverは標準で「Windows Serverバックアップ」という、ディスク・ツー・ディスク(またはネットワーク共有)のバックアップと復元機能を備えています。Windows Serverのデスクトップエクスペリエンスには、「Windows Serverバックアップ」スナップイン(wbadmin.msc)が標準でインストールされていますが、「Windows Serverバックアップ」の機能を有効化するか(画面1)、次回説明するAzure Backupのクラウドバックアップをセットアップしない限り、バックアップと復元機能を提供しません。

 

画面1
画面1 ローカルバックアップ用に「Windows Serverバックアップ」の機能を有効化する

 Windows Serverバックアップの使用方法はいたって簡単です。「Windows Serverバックアップ」スナップインを開き、「操作」ペインの「バックアップスケジュール」をクリックして、「バックアップスケジュールウィザード」の指示に従って選択していくだけです。検証用サーバー機では、単純に「サーバー全体」を選択し、バックアップの開始時間(1日1回19:00に開始するように設定)を選択して、「バックアップ専用のハードディスクにバックアップする(推奨)」を選択し、バックアップ専用で使用するディスクを指定するだけです(指定したディスクはバックアップ対象から除外されます)。「バックアップスケジュールウィザード」が完了すると、ディスクは初期化され、ドライブ文字は割り当てられません(画面2)。

 

画面2
画面2 作成したバックアップスケジュール。フルバックアップを毎日19:00にバックアップ専用ディスクに対して行うように設定

 

土日のシステム停止を前提とした簡単スケジュール調整

 

 Windows Serverバックアップでは、1日1回または複数回のバックアップの開始時刻を設定できるだけで、詳細なスケジュール設定ができません。画面2の6月17日の履歴を見てください。この検証用サーバー機は、平日は連続稼働していますが、金曜日の深夜にシャットダウンし、月曜日の8:00に自動起動するようにしています(サーバーハードウェアのリモート管理コントローラーを使用して)。どうやら、システム停止時に実行されなかったスケジュールが次の起動直後に開始しているようです。

 以下のブログ記事では、WBADMINコマンドや、PowerShellのWindowsServerBackupモジュールのコマンドレットを使用して、Windows Serverバックアップによるバックアップをコマンドラインから実行する方法を紹介しました。そのコマンドラインを、「タスクスケジューラ」(taskschd.msc)やジョブ管理ツール(弊社「Job Director R16」など)でスケジュール設定して自動実行すれば、詳細なスケジュール設定が可能です。

メモ. 明日のためのスクリプト: コマンドでバックアップ

 今回は、もっと簡単な方法で、実行されなかったスケジュールが次回起動時に開始しないようにしてみましょう。それには、タスクスケジューラを使用します。「Windows Serverバックアップ」スナップインやWBADMINコマンドでスケジュールを作成すると、「タスクスケジューラライブラリ¥Microsoft¥Windows¥Backup」に「Microsoft-Windows-WindowsBackup」という名前のタスクが作成されます。Windows Serverバックアップのスケジュール設定の実体は、「wbadmin.exe start backup...」を実行するこのタスクです。このタスクのプロパティを開き、「トリガー」タブでスケジュールを調整すればよいのです。例えば、毎週を選択し、日曜日と土曜日を除外しておけば、土日のシステム停止時はバックアップが実行されません(画面3)。結果として、月曜日の起動直後に、実行されなかったスケジュールが実行されることはなくなります(画面4)。

 

画面3
画面3 タスクスケジューラを使用して、「Microsoft-Windows-WindowsBackup」タスクのスケジュールを調整する

 

画面4
画面4 システムが停止していた土日(6月22日、23日)に実行されなかったスケジュールが、月曜日(24日)の8:00の起動直後に実行されることはなくなった

 なお、「Microsoft-Windows-WindowsBackup」タスクに加えたスケジュールの変更は、「Windows Serverバックアップ」スナップインで確認できるスケジュール設定には反映されません。また、「Windows Serverバックアップ」スナップインでバックアップの設定を変更した場合、改めて「Microsoft-Windows-WindowsBackup」のスケジュールを調整する必要があります。

 

次回は、Azure Backupでクラウドバックアップ

 

 今回は、オンプレミスのラボ環境のディスク・ツー・ディスクのローカルバックアップについて説明しました。次回は、Azure Backupを使用して、ディスク・ツー・クラウドのクラウドバックアップを導入したいと思います(図1)。バックアップ対象は、ラボ環境に導入したActive Directoryのドメインコントローラー用Hyper-V VMです。実は、そのバックアップをAzure上のラボ環境のHyper-Vにリストア(またはファイルとして復元しインポート)して、Active Directory環境のコピーをAzure上のラボ環境に持っていこうか目論んでいます。Hyper-Vホスト間のHyper-V VMのレプリケーションと言えば、「Hyper-Vレプリカ」という標準機能がありますが、それは使いたくありません。なぜなら、Azureクレジット枠内で課金を抑えたいため、レプリケーションのために長時間稼働させたくないのです。

 

図1

図1 実現しようとしているローカルバックアップとクラウドバックアップの組み合わせ

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