セイテクエンジニアのブログ かつて山市良と呼ばれたおじさんのブログ vol.42 Windowsのコンピューター名を変更する|コマンド&スクリプト強化週間
2024年09月12日配信
執筆者:山内 和朗
コマンド&スクリプト強化週間(2024秋)の第2弾は、Windowsのコンピューター名をコマンドラインで変更する方法です。インターネットで検索すると、とても暗記することなどできないWMICコマンドの長いコマンドラインが見つかります。しかし、WMICは既に非推奨のコマンドであり、将来のWindowsバージョンで削除されることが決まっています。WMICコマンドとは別の、もっと簡単な方法を知っておきましょう。
Windowsのコンピューター名を変更する方法をインターネットで検索すると、次のようなWMICコマンドの長くて、見慣れない使い方のコマンドラインが見つかると思います。最近はやりのAIチャット(Microsoft Copilotなど)に聞いてみても同様です。
C:¥> wmic computersystem where name="%computername%" call rename name="新しいコンピューター名" |
上記のコマンドラインをコマンドプロンプト(管理者権限)で実行し、Windowsを再起動すれば、確かにコンピューター名は変更できます。なお、今回は話がややこしくなるのでActive Directoryのドメイン環境での変更方法については省略します(通常、netdomコマンドを使用します)。ドメインに参加していないサーバーやデバイスのコンピューター名の変更です。
WMICコマンドは、もう10年以上前のWindows Server 2012の時に非推奨となったレガシなコマンドです。非推奨になってからは、PowerShellのWMIまたはCIM用コマンドレットを使用することが推奨されています。
Windows 11バージョン22H2から、WMICは「オンデマンド機能(Features on Demand、FoD)」化され、不要な場合は削除できるようになりました。既定では有効になっているため、明示的に削除しない限り、Windows 11バージョン22H2/23H2までは引き続き利用できます。Windows 11の次のバージョン(24H2)およびWindows Serverの次のバージョン(2025)ではFoDであることは変わりませんが、既定では無効の状態になる予定で、そうなると明示的に追加しない限り、WMICコマンドは使用できなくなります(画面1)。そして、将来のWindowsのリリースでは、WMICは完全に削除されることが決まっています(時期は未定)。
WMI command line (WMIC) utility deprecation: Next steps(Windows IT Pro Blog)
WMIの使用 - Windows PowerShell(Microsoft Learn)
画面1 Windows 11とWindows Serverの次のバージョンでは、既定でWMICコマンドは使用できなくなる(画面はWindows Server 2025 Public Preview。Windows 11 Insider Previewでも同様にWMICは既定で無効)
なぜWMICコマンドによるコンピューター名の変更方法が人気があるのか分かりませんが、代替のコマンドラインを探す必要なんてありません。その目的のために古くからある(Windows PowerShell 3.0から)PowerShellの「Rename-Computer」コマンドレット(Microsoft Learn)があるじゃないですか(画面2)。
PS C:¥> Rename-Computer -NewName "New-Name" -Restart |
画面2 コンピューター名の変更は、Ranem-Computerコマンドレットで簡単に行える(昔から)
例のWMICコマンドのような、複雑なコマンドラインがいい(かっこいい)と思うなら、「Get-WmiObject」コマンドレットを使用する方法もあります(画面3)。
PS C:¥> (Get-WmiObject Win32_ComputerSystem).Rename("New-Name") PS C:¥> Restart-Computer |
画面3 Rename-Computerはシンプル過ぎると思うあなたには、何か難しいことをやっている感のあるコマンドラインをどうぞ
Windows Serverを実行するサーバーのコンピューター名を変更する場合は、Windows Serverが標準で備える「Sconfig」ユーティリティを使用できます。このユーティリティはもともとServer Coreの初期設定や更新を想定したCUIツール(古いバージョンは一部でダイアログボックスが表示されます)ものですが、デスクトップエクスペリエンス環境でも使用できます。Windows Server 2022からはそれ以前のWSH(Windows Script Host)ベースのものからPowerShellベースに書き換えられ、完全にCUI環境で実行できるようになりました(画面4)。
ちなみに、Windows Server 2019以前のSconfigによるコンピューター名の変更にはWMICコマンドが使用されていますが、PowerShell化されたWindows Server 2022以降のSconfigではRename-Computerコマンドレットが使用されています。
画面4 Windows Serverのコンピューター名は、インストールの種類に関係なく、Sconfigユーティリティでできる