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ITニュース. Windows Updateの更新プログラムのタイトル簡略化は、不評の予感

2025年10月31日配信
2025年10月31日更新
執筆者:山内 和朗

 Microsoftは2025年10月末、Windows Updateで提供される更新プログラムのタイトルの命名規則を簡略化することを発表しました。2025年10月28日(米国時間)にリリースされたWindows 11向けの更新プログラムのプレビュー(2025-10 D)には新しい命名規則が適用されています。これまでの更新プログラムのタイトルに慣れているユーザーや管理者は、簡略化されずぎた新しい形式のタイトルに戸惑うことになるでしょう。新しい形式のタイトルは、更新プログラムが原因でトラブルが発生した際に、どの更新プログラムの影響なのか特定するのが難しくするかもしれません。

 

更新プログラムのタイトルの新命名規則、始まる

 

 Microsoftによると、新しいタイトルの形式は、主にユーザーを念頭に設計されたもので、より直観的で一貫性があり、有益で、受信している更新プログラムをすばやく理解できるそうです。例えば、これまでのタイトルは「2025-10 x64 ベース システム用 Windows 11, version 25H2 の累積更新プログラム (KB5070773) (26200.6901)」のように、リリース年月、アーキテクチャ、Windowsバージョン、KB番号、OSビルド.リビジョン番号の情報を含む長いタイトルでした。これが、新しい形式では「セキュリティ更新プログラム (<KB番号>) (<OSビルド番号>.<リビジョン番号>)」のように大きく簡略化されます。

Simplified Windows Update titles|Windows IT Pro Blog(Tech Comunity)
簡略化されたWindows Updateタイトル|サポート(Microsoft)

 Windows 11向けの10月の更新プログラムのプレビュー(2025-10 D)には、既にこの新しい形式が使用されています(画面1)。

 

画面1 Windows 11向けの更新プログラムのタイトルは、10月のDリリースから新形式に。10月20日(米国時間)リリースの定例外の更新プログラム(2025-10 OoB)は旧型式
画面1 Windows 11向けの更新プログラムのタイトルは、10月のDリリースから新形式に。10月20日(米国時間)リリースの定例外の更新プログラム(2025-10 OoB)は旧型式

 Windows Updateのリリースサイクルは、2023年3月の以下のブログ記事で説明されたものに従っていますが、更新プログラムのタイトル(特に、“Preview”に関して)は2020年6月に発表された規則に従っていました。ちなみに、.NET Frameworkの更新プログラムの日本語タイトルは、翌7月の実際のC/Dリリース以後、「のプレビュー」*1 が欠落したまま(旧ブログの記事)修正されることはありませんでした。

Windows monthly updates explained [Mar 22, 2023]|Windows IT Pro Blog(Tech Community)
Resuming optional Windows 10 and Windows Server non-security monthly updates [Jun 18, 2020]|Windows IT Pro Blog(Tech Community)

 長く慣れてきたタイトルが変更になると、次にWindows Updateを実行する際に、戸惑うかもしれません。そこで、これまでのタイトルと、新形式のタイトルを、最近の更新プログラムの実例とともに以下の表にまとめました。

 

更新の種類

簡略化されたタイトル(日本語)

簡略化されたタイトル(英語)

かつて・・・おじさんのよく使う表記

毎月および定例外のセキュリティ更新プログラム

 

 

 

 

実例:

2025-10 x64 ベース システム用 Windows 11, version 25H2 の累積更新プログラム (KB5070773) (26200.6901)

2025-10 Cumulative Update for Windows 11, version 25H2 for x64-based Systems (KB5070773) (26200.6901)

セキュリティ更新プログラム (KB#######) (Build.Rev)
Security Update (KB#######) (Build.Rev)

実例:

セキュリティ パッチ (KB5070881) (26100.6905)

? については後述します。

Security Update (KB5070881) (26100.6905)

定例更新、定例外の更新、Bリリース、OoB(Out of band)リリース、YYYY-MM B、YYYY-MM OoB

セキュリティ以外の更新プログラムのプレビュー

 

 

 

実例:

2025 年 09 月の累積更新プログラムのプレビュー (Windows 11 Version 24H2、x64 ベースのシステム向け) (KB5065789) (26100.6725)

2025-09 Cumulative UpdatePreview for Windows 11, version 24H2 for x64-based Systems(KB5065789) (26100.6725)

プレビュー更新プログラム (KB#######) (Build.Rev)
Preview Update (KB#######) (Build.Rev)

実例:

プレビュー更新プログラム (KB5067036) (26200.7019)

Preview Update  (KB5067036) (26200.7019)

オプションの更新プログラム、更新プログラムのプレビュー、YYYY-MM D

.NET Frameworkのセキュリティ更新プログラム

 

実例:

2025-10 .NET Framework 3.5 および 4.8.1 の累積的な更新プログラム (x64 向け Windows 11, version 25H2 用) (KB5066128)
2025-10 Cumulative Update for .NET Framework 3.5 and 4.8.1 for Windows 11, version 25H2 for x64 (KB5066128)

.NET Frameworkセキュリティ更新プログラム (KB#######)
.NET Framework Security Update (KB#######)
.NET FrameworkのBリリース

.NET Frameworkのセキュリティ以外の更新プログラムのプレビュー

 

 

 

実例:

2025-08 .NET Framework 3.5 および 4.8.1 の累積的な更新プログラム (x64 向け Windows 11, version 25H2 用) (KB5064401) *1 日本語タイトルから「のプレビュー」が欠落

2025-08 Cumulative Update Preview for .NET Framework 3.5 and 4.81. for Windows 11, version 24H2 for x64 (KB5064401)

.NET Framework プレビュー更新プログラム (KB#######)
.NET Framework Preview Update (KB#######)

実例:

.NET Framework プレビュー更新プログラム (KB5067931)

.NET Framework Preview Update  (KB6067036)  (KB5067931)

.NET FrameworkのDリリース

ドライバーの更新プログラム

<デバイス名> ドライバー更新プログラム (<ドライバーバージョン>)
<デバイス名> Driver Update (<ドライバーバージョン>)
 

AIコンポーネントの更新プログラム

<コンポーネント名> AI コンポーネント更新プログラム (KB番号#######)  (<コンポーネントのバージョン>)
<コンポーネント名> AI Component Update (KB番号#######)  (<コンポーネントのバージョン>)
 

 

“セキュリティ更新プログラム”ではなく“セキュリティパッチ”?

 

 Windows 11向けの2025-10 Dの更新プログラムが新形式のタイトルで提供されたことはお伝えしましたが、サポート情報やMicrosoft Updateカタログサイト(https://www.catalog.update.microsoft.com/)でのタイトルはこれまでと変更ありません(画面2)。また、Windows Server Update Services(WSUS)でのタイトルにも影響ありません(画面3)。しかし、KB番号で識別できるとはいえ、更新プログラムの取得方法でタイトルが異なるのは、一貫性があるとは言えないのではないでしょうか。更新管理やトラブルシューティングが困難にならないでしょうか。ちなみに、Windows Updateを更新ソースとするAzure Update Manager、Microsoft Intune、Windows Update Agent(WUA) APIでは、新しい形式のタイトルが使用されるようです。次に説明する“セキュリティ パッチ”の表記を 、Azure Update Manager、Windows Server 2025のSconfig、およびWUA APIの自作スクリプトで確認しました。

 

画面2 サポート情報(リリースノート)とMicrosoft Updateカタログサイトでの更新プログラムのタイトルは従来のまま
画面2 サポート情報(リリースノート)とMicrosoft Updateカタログサイトでの更新プログラムのタイトルは従来のまま

 

画面3 WSUS上での更新プログラムのタイトルも従来の規則のまま変更なし。この更新プログラム「KB5070881」のWindows Updateでの名称については画面4を参照
画面3 WSUS上での更新プログラムのタイトルも従来の規則のまま変更なし。この更新プログラム「KB5070881」のWindows Updateでの名称については画面4を参照

 実は、Windows Server Update Services(WSUS)の緊急の脆弱性を修正するWindows Server 2025向けの2025年10月の二度目の定例外の更新プログラム(米国時間23日リリースのKB5070881)もまた、新しい形式のタイトルで提供されました。しかし、その日本語タイトルは日本語版サポート情報で説明されている「セキュリティ更新プログラム...」とは異なり、「セキュリティ パッチ (KB5070881) (26100.6905)」となっていました(画面4)。このまま不適切な日本語訳が訂正されないと、11月の定例更新(Bリリース)は、日本語版Windowsに「セキュリティ パッチ」というタイトルでやってくるかもしれません。

ITニュース. WSUSに最大深刻度“緊急”の脆弱性、定例外のセキュリティ更新リリース

画面4 英語版のタイトルは「Security Update」、日本語版のタイトルは「セキュリティ更新プログラム」ではなく「セキュリティパッチ」
画面4 英語版のタイトルは「Security Update」、日本語版のタイトルは「セキュリティ更新プログラム」ではなく「セキュリティ パッチ」

 また、Windows Server 2022向けのWSUSの脆弱性を修正する定例外の更新プログラム(米国時間23日リリースのKB5070884)」は、従来のタイトル(2025-10 ・・・ )」でした(画面5)。簡略化を説明するサポート情報には適用対象が示されていませんが、もしかすると新形式のタイトルはWindows 11バージョン24H2以降およびWindows Server 2025以降の更新プログラムにのみ適用される規則である可能性があります。実際どうなるのか、2025年11月の定例更新(2025-11 B)で明らかになるでしょう。

 

画面5 画面4の更新プログラムと同じ日にリリースされたWindows Server 2022向けの定例外の更新プログラムのタイトルは従来形式だった
画面5 画面4の更新プログラムと同じ日にリリースされたWindows Server 2022向けの定例外の更新プログラムのタイトルは従来形式だった

 今回のタイトルの簡略化について個人的な意見を言わせてもらえば、また余計なことをしてくれたという思いです。少なくとも、リリース年月やWindowsバージョンは削ってほしくなかったです。最初に挙げたTech Communityのブログのコメント欄も、今回の変更を歓迎していない声で溢れています。“This is an absolutely horrible decision, with little warining(ほとんど事前通告なしの、まったくひどい決断)”という声に、完全に同意します。

 

実害?の報告(誤配信×日本語のミス?)

 

 Windows Server 2025の10月2度目の定例外は、ホットパッチが有効なマシンに対しても、タイトル簡略化のサポート情報公開前にこのひどい新しいタイトルで誤配信されました(その後、ホットパッチが有効なAzure Arc対応サーバーには同じOSビルド.リビジョンの別の更新が配布されています)。「セキュリティ パッチ」と言うから、WSUSの問題だけを修正する小さなもので、サクッと適用できると思ったら(ホットパッチが有効なマシンなこともあって)、通常の(数GBの)累積更新プログラムでした。ホットパッチで運用していたのに、再起動が要求され、さらに次回のベースライン更新の1月をインストールするまで、つまり2月の更新までホットパッチの対象から外されてしまいました(KB5070881のサポート情報の既知の問題を参照)。「Update」があっち(D)では「更新プログラム」、こっち(OoB)では「パッチ」だったり、この一貫性の無さが生んだ実害と言えるでしょうか。

 

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