セイテクエンジニアのブログ かつて山市良と呼ばれたおじさんのブログ vol.47 Windows Serverを監視対象に追加する|BOMおじさんとZabbix(3)
2024年09月30日配信
2024年09月30日更新
執筆者:山内 和朗
前々回と前回で、Zabbix 7.0 LTSの監視サーバーのインストールとセットアップはひとまず完了しました。Zabbix監視サーバーは、監視対象にインストールしたZabbixエージェントと連携して、監視対象のリソースとアプリケーションを能動的に、詳細に監視することができます。Zabbixは、Windows、Linux、BSD、UNIX(AIX、HP-UX、Solaris)、macOSのほぼすべてのアーキテクチャに対応したZabbixエージェントを提供ていることがその特徴の1つです。今回は、Windows ServerにZabbixエージェント(Agent 2)をインストールして、Zabbixの監視対象として追加してみたいと思います。
Zabbixは、他の多くの運用監視ツールがそうであるのと同じように、監視サーバーとエージェントで構成されます。Zabbixは、Windows、Linux、BSD、UNIX(AIX、HP-UX、Solaris)、macOSのほぼすべてのアーキテクチャに対応したZabbixエージェントを提供しています。
Zabbixエージェント(AgentまたはAgent 2)は、監視対象のリソースを監視して、受動的(パッシブモード)または能動的(アクティブモード)に収集したデータを監視サーバーに送信します(図1)。定期的にZabbixエージェントからデータを送信するアクティブモード(アクティブチェック、Agent 2のみ対応)の場合、ルーターやファイアウォール越しの監視が可能です。また、大規模環境における監視負荷の分散、あるいはリモート拠点にある監視対象の監視のために、ZabbixサーバーとZabbixエージェントの間に、Zabbixプロキシを設置する構成も可能です。
図1 Zabbixの監視モデル。負荷分散やファイアウォール越しの監視のために、Zabbixプロキシを設置することも可能
監視対象にはZabbixエージェントをインストールするのが一般的ですが、エージェントレスの監視も可能です。しかし、エージェントによる監視と比べて、監視できる項目は大きく制限されるようです。ネットワーク機器の場合はSNMP(簡易ネットワーク管理プロトコル)監視が可能ですが、それ以外のエージェントレス監視は、Ping監視、ポート監視、Webアプリ監視、ZabbixサーバーやZabbixプロキシ上でのスクリプト実行といったものに限定されるようです。明言しない理由は、まだZabbixの試用を始めたばかりで詳しくないからです。
Windows用のZabbixエージェントは、Windowsインストーラーパッケージ(MSI)でZabbixのダウンロードページ(https://www.zabbix.com/jp/download_agents)から入手することができます。AgentとAgent 2の2種類と複数バージョンのMSIファイルをダウンロードできますが、後発で高機能なZabbix 2の最新バージョンのものをダウンロードすればよいはずです(画面1)。
画面1 Windows用のAgent 2のインストーラー(MSI)をダウンロードして実行する
インストール手順は以下のドキュメントで説明されていますが、MSIパッケージを実行して「Zabbix Agent 2 Setup」のウィザードに従ってインストールします。少なくとも、ホスト名とZabbixサーバーのIPアドレス(またはDNS名)、エージェントのポート番号(既定値は10050)の指定が必要です(画面2)。オプションで、アクティブ監視用のZabbixサーバーまたはZabbixプロキシのIPアドレス(またはDNS名)、事前認証キーによるTLS保護を有効にするかどうかを設定することができます。なお、これらの設定は「zabbix_agent2.conf」(C:¥Program Files¥Zabbix Agent 2¥zabbix_agent2.conf)を編集することで、後から変更することができるようです。
4 Windows agent installation|Zabbix Manual|ZABBIX Documentation
画面2 ホスト名、ZabbixサーバーのIPアドレス、エージェントのポート番号を指定してインストールする。アクティブチェック用に既定で127.0.0.1が設定されているが、空白にするか、ZabbixサーバーまたはプロキシのIPアドレス(アクティブチェックで監視する場合)に変更すること
エージェント/エージェントレスに関係なく、監視対象はZabbixにホストとして登録する必要があります。ホストの登録は、手動または自動(ディスカバリ)で行うことができます。手動で登録するには、「データ収集|ホスト」の「ホストの作成」から行えます(※前回指摘したように、「作成」ボタンはウィンドウ上部の右端にあります)。
ホストの登録には、少なくとも「ホスト名」と「ホストグループ」の指定が必要です。また、エージェント監視のためには「エージェント」インターフェースを追加し、エージェントのIPアドレスとポート番号(既定値は10050)の指定が必要です。
Zabbixには、「Zabbix servers」「Databases」「Discoverd hosts」「Linux servers」など、既定でいくつかホストグループが用意されています。ホストグループは、「データ収集|ホストグループ」の「ホストグループの作成」から作成することができます。今回は、「Windows servers」というホストグループを作成して、ホストを追加しました。また、テンプレートの指定はオプションですが、とりあえず(何もわからないまま)「Windows by Zabbix agent」を指定しました(画面3)。
画面3 Zabbixサーバーにエージェント監視のWindows Serverホストを追加する
監視対象のホストを登録すると、すぐにエージェントからデータが収集され、「ダッシュボード」や「監視データ|ホスト」などにその状態が表示されるようになります(画面4)。今回は手動でホストを登録しましたが、「ディスカバリルール」を使用すれば、ローカルネットワーク(既定で無効)または指定したIPアドレス範囲から、ZabbixエージェントやZabbixプロキシを定期的に検索して、自動登録することができるようです。
画面4 ホストを登録した直後から、エージェントからデータが収集され、その状態やイベント、パフォーマンス(グラフ)を参照できるようになった
多くの運用監視ツールは、Zabbixと同様に、監視サーバーが監視対象のエージェントからデータを収集して、監視を行います。自立分散型サーバー監視ソフトである「BOM for Windows」の監視モデルは、それとは大きく異なります。
BOM for Windowsには、監視サーバーとエージェントという概念はありません。技術的には、BOMヘルパーサービス(BOM8Helper、BOMHelpter.exe)と監視インスタンスごとのサービス「BOM8Agent$<インスタンス名>、BOMAgent.exe)が、それぞれ監視サーバーとエージェントの役割に相当します。管理者は、「BOMマネージャー」をローカルまたはリモートのBOMヘルパーサービスに接続して管理します。スタンドアロン環境のWindows Serverで監視環境を自己完結できる他、集中管理コンソールを導入して、管理を一元化することもできます。また、BOMのソフトウェアをインストールできない(したくない)場合は、「代理監視」という仕組みでBOMがインストールされたWindows Serverからリモートかつエージェントレスで完全に管理することもできます(図2)。
図2 BOM for Windowsの監視モデル
Zabbixのエージェント/エージェントレス監視とは異なり、ローカル監視と代理監視で、監視できる項目に違いはありません。LinuxやVMwareの監視に対応した「Linuxオプション」、「VMwareオプション」についても、BOMをインストールしたWindows Serverからリモートで、エージェントレスで管理する形になります。いずれの場合も、代理監視する監視対象ごとにBOMのライセンスを用意する必要があります。
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