
かつて山市良と呼ばれたおじさんのブログ
セイテクエンジニアのブログ かつて山市良と呼ばれたおじさんのブログ vol.46 Zabbix UIのセットアップと日本語化|BOMおじさんとZabbix(2)
2024年09月26日配信
2025年04月25日更新
執筆者:山内 和朗
前回は、Zabbix 7.0 LTSの監視サーバーをUbuntu Server 24.04 LTSを実行するHyper-V仮想マシン(VM)にインストールし、Zabbix UI Webページ(Zabbixフロントエンド)への接続まで行いました。今回は引き続き、Zabbix UIのセットアップを行います。
前回、Zabbixのダウンロードページの手順2の最後(f)はZabbix UI Webページを開くところで終わりました。次の手順は「3 Zabbixを使ってみよう」であり、「クイックスタートガイド」(5 Quickstart|ZABBIX Documentation)へのリンクが示されています。しかし、実は、ZabbixのフロントエンドであるZabbix UIのセットアップはまだ終わっていません。
Zabbix UI Webページ(http://IPアドレスまたはホスト名/zabbix)を開くと、最初に「Welcome to Zabbix 7.0」のページが表示され、既定の言語として「English(en_US)」が選択されています(画面1)。このVMはUbuntu 24.04 LTSを英語ロケール(en_us.utf8)でインストールしたもので、他の言語サポートは追加していません。そのため、この時点では「English(en_us)」以外の言語に変更することができないようです。
画面1 この時点では「English(en_us)」以外の言語に変更できないが、そのままセットアップを進めてみる
日本語対応については後で考えるとして、「Next setup」をクリックしてセットアップを進めてみましょう。次に表示される「Check of pre-requistes」ページでは、ソフトウェアの前提条件がチェックされているようです。すべて「OK」となっていたので、「Nest setup」で次に進みます。
「Configure DB connection」のページでは、データベースの接続情報を入力します。データベースの種類として「MySQL」を選択し、データベースホスト「localhost」、データベース名「zabbix」、ユーザー「zabbix」、パスワード「password」を指定して「Nest setup」で次に進みます(画面2)。データベース名、ユーザー名、およびパスワードは、インストール手順2をそのまま実行した場合の既定値です。
画面2 データベースの接続情報を入力する
次の「Settings」ページでは、Zabbixサーバー名として「localhost」を指定し、既定のタイムゾーンとして「(UTC+09:00)Asia/Tokyo」を選択します。既定のテーマ(既定値はBlue)を適当に選択し、「Next stup」をクリックします。「Pre-installation summary」ページで設定内容を確認し、「Next setup」をクリックすると、「Congratulations! You have successfully installed Zabbix frontend.」と表示されます。これでようやくインストールが完了したようです。
インストールの最後のページで「Finish」をクリックすると、Zabbixのログイン画面が表示されるので、ユーザー名「Admin」(※大文字と小文字は区別されます)、パスワード「zabbix」と入力してログインします(画面3)。このユーザーはZabbixのスーパーユーザーで、パスワードはこれまでに設定していないので、Zabbixの既定値のようです。なので、ログインしたらできるだけ早くパスワードを変更したほうがよいとこの時は思いました。
画面3 ユーザー名「Admin」、パスワード「zabbix」でログインする
Zabbix UIにログインすると、Zabbixのリッチなダッシュボードが表示されました。そして、既にローカルサーバー(Ubuntu Server)からの各種情報が取得され、その状態を示しているようです(画面4)。
画面4 Zabbix UIにログインするとダッシュボードが表示される。既にローカルサーバーからの情報を取得し、その状態を把握できる
Zabbix UIのセットアップ時に既定の言語として「English(en_US)」しか選択できなかったので、UIの表示言語は当然のことながら英語です。監視ツールに限らず、日本人なら母国語で使いたいという人が多いでしょう。その方法は、ドキュメント(16 Additional frontend lang|ZABBIX Documentation)に説明されているように、次のコマンドラインでOSに日本語ロケール(ja_JP.UTF-8)を追加してApacheを再起動します。なお、viエディターは、vimやnanoなどお好みのエディターに置き換えてください。
$ locale -a $ sudo vi /etc/locale.gen 変更前: #ja_JP.UTF-8 UTF-8 変更後: ja_JP.UTF-8 UTF-8 $ sudo locale-gen $ sudo systemctl restart apache2 |
その後、Zabbix UIにログインし、「User settings|Profile」を開き、Languageを「English(en_US)」から、「Japanese(ja_JP)」に変更して、「Update」ボタンをクリックします(画面5、画面6)。
画面5 OSに日本語ロケール(ja_JP.UTF-8)を追加して、ユーザープロファイルで言語を変更する
画面6 Zabbix UIの表示言語が日本語に変更された
これでZabbixの監視サーバーのインストールとセットアップはめでたく完了といきたいところですが、いろいろな場所を参照していると、グラフ表示の目盛の一部、英語表示のときの「avg、last、min、avg、max」などの部分が文字化けしていることに気付きました。インターネットを検索すると、この問題の対処方法がいくつか見つかりました。その中の1つの方法で何とか問題を解消することができました(画面7)。どの方法が最も適切なのかわからないので、具体的な方法は説明しません。
画面7 Zabbixの表示言語を日本語に切り替えた後、グラフ表示の一部が文字化けした(画面左)。インターネットで検索して得た情報で解消(画面右)
Zabbix UIへの最初のサインイン時にAdminのパスワード変更をしなければと言っておきながら、すっかり忘れていました。Adminのパスワードを変更するには、「ユーザー(Users)」の「Admin」を開き、「パスワード変更(Change password)」ボタンをクリックして、現在のパスワード(zabbix)を入力し、新しいパスワードと確認入力を行い、「更新(Update)」ボタンをクリックします。
AdminはZabbixのスーパーユーザーであり、「特権管理者(Super admin)」の役割)を持ちます。そのため、Adminとは別にユーザーを作成し、「管理者(Admin)」または「特権管理者(Super admin)」の役割を割り当てたユーザーを作成して、日常の監視に使用するべきなのでしょう。しかし、このブログは評価が目的なのでAdminで使用することにします。
通知方法(Zabbixでは「メディア」と呼ぶみたいです)など実際に監視を開始するまでには、まだ設定しなければいけないところは残っていますが、Zabbixの監視サーバーのインストールとZabbix UI(フロントエンド)のセットアップは、とりあえずこれで完了とします。ドキュメントにデータベース(MySQL)のパッケージのインストール方法の記載が無いことや、UIを日本語化したときにグラフ表示の目盛の一部が文字化けするといった問題を自分で調べて解決していかなければならないことに、難しさを感じる人もいるでしょう。監視設定はこれからですが、それも同様に苦労すると予想されます。しかし、それがOSSというものです。OSSのサポートはユーザーコミュニティベースが普通です。大規模な運用環境を監視するとなると、やはりサポートサービス(Zabbixの場合はEnterpriseサポート&サブスクリプション《ZABBIX》)の契約が欠かせないと思います。つまり、Zabbix人気の理由である“無料”ではなくなります。
日本生まれのBOM for Windowsのソフトウェアは、Windows Server日本語版へのインストールを想定しており、日本語に関して苦労する心配はありません。逆に、BOMのソフトウェアは、英語版を含む他言語版へのインストールをサポートしていません。英語版OS環境の監視は、代理監視(LinuxやVMwareのリモート監視を含む)でサポートされます。また、英語版OSに言語パックを追加して、表示言語とシステムロケールを「日本語(日本)」に変更すれば、BOMをインストールして監視することができます。
BOM は英語版 Windows の監視に対応しているか|セイ・テクノロジーズ株式会社サポート技術情報
英語版OSへのBOMのインストールについて-BOM for Windows FAQ(仮)|製品コラム
パスワードについても、BOMのソフトウェアのインストール後に自動開始する「サーバー設定ウィザード」に管理用および参照用のパスワードを設定するところがあるので、管理用のパスワードが誰でも分かる既定値のまま放置されるリスクが低減されます。ただし、「サーバー設定ウィザード」をスキップした場合、あるいはウィザードでパスワードを設定しなかった場合、既定のパスワード「bom」が使用されることに注意してください。
作成ボタンはそれじゃない
目的のボタンはというと、ページの右上に存在します。ページの横幅が長いため、大きなディスプレイで作業していない限り、その存在に気付くまでに少し時間がかかるかもしれません。
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