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vol.48 「アクティブチェック: 不明」の理由は大文字小文字|BOMおじさんとZabbix(4)

2024年10月03日配信
2025年04月25日更新
執筆者:山内 和朗

 前回は、Windows ServerにZabbixエージェント(Agent 2)をインストールして、Zabbixの監視対象としてホストを登録しました。登録してすぐ、Zabbixエージェントからデータ収集が始まり、その状態を最新データやグラフ、障害イベントとして参照できるようになりました。今回は前回、なんとなく選択してホストにリンクしたテンプレートの話です。

 

Zabbix成功の鍵はテンプレートにあり!?

 

 前回、ホストの登録時、なんとなく「Windows by Zabbix agent」テンプレートをホストにリンクしましたが、Zabbixではこのテンプレートが監視設定のカスタマイズや導入の効率化の要になっているようです。それは、Zabbixのソリューションを提供するパートナー各社がテンプレートの作成メニュー(しかもそれなりの価格で)を用意していることからも容易に想像できます。テンプレートに含める監視設定テンプレートなしでもホストを追加して、監視することはできますが、その場合、すべての監視設定をゼロから作っていかなければならないようです。

 Zabbixには、監視対象のプラットフォームやアプリケーションの監視に使えるテンプレートが標準で付属しています。標準のテンプレートの中から適切なものを1つ以上リンクすることもできますが、標準テンプレートを複製して、そのテンプレートに対して監視設定をカスタマイズし、同一の監視設定を行いたい監視対象にリンクするという使い方が一般的なようです。

9 Templates out of the box(すぐに使えるテンプレート)|ZABBIX Documentation

 Windows関連の標準テンプレートとしては、「Windows by SNMP」と「Windows by Zabbix agent」と「Windows by Zabbix agent active」の3つが見つかりました。名前から想像するに、「Windows by SNMP」はSNMPによる監視、「Windows by Zabbix agent」はパッシブモード(パッシブチェック)によるエージェント監視、「Windows by Zabbix agent active」はアクティブモード(アクティブチェック)によるエージェント監視と思われます。もう一方のエージェント監視テンプレートとは違い、こちらのテンプレートには値のマッピングに「zabbix.host.active_agent.available」を確認しました。そこで「Windows by Zabbix agent active」を複製して「My Windows by Zabbix agent active」として追加し、ホストのリンクをこちらに変更しました(画面1、画面2)。

 

画面1
画面1 「Windows by Zabbix agent active」を複製して「My Windows by Zabbix agent active」を追加

 

画面2
画面2 ホストのテンプレートのリンクを「My Windows by Zabbix agent active」に変更して更新

 

Zabbixエージェントのアクティブチェックが“不明”のナゼ?

 

 ホストのテンプレートを、アクティブチェック対応のテンプレートに変更しましたがエージェントの状態としてパッシブチェック(リモートIP:10050)が「利用可能」であることを確認できましたが、アクティブチェックはいつまでたっても「不明(zabbix.host.active_agent.available=0→unknown)」のままです(画面3)。サーバー側のポートの許可(アクティブチェックはエージェントからZabbixサーバーの10051/TCP)は問題ありません。Zabbixを評価するにあたり、複雑さを排除するため、ファイアウォールは無効にしている(有効にしていない)ので、エージェントからの通信がブロックされることはありません。念のため、「sudo ufw status」コマンドの実行結果を確認すると、「Status: inactive」が返ってきます。

 

画面3
画面3 「アクティブチェック」のステータスが「不明」のままで、アクティブチェックが機能していない

 Zabbixエージェントのインストール時にアクティブチェック用のIPアドレスは空欄にしたので、これが原因と考え、「zabbix_agent2.conf」C:¥Program Files¥Zabbix Agent 2¥zabbix_agent2.conf)に「ServerActive=<ZabbixサーバーのIPアドレス>」を追加し、「Zabbix Agent 2」サービスを再起動してみました(画面4)。しかし、状況に変化はありません。最終的に、Zabbixサーバーに登録したサーバー名を「zabbix_agent2.conf」の「Hostname=<ホスト名>」に完全に一致するように、Zabbixサーバー側で変更したところ、ようやく問題が解消しました。「zabbix_agent2.conf」のホスト名は大文字(WS2022VM01)でしたが、Zabbixサーバー側に登録したホスト名が小文字(ws2022vm01)になっていたことが原因のようで、大文字/小文字を厳密に一致させる必要がありました(画面5)。インターネット検索を頼りにこの問題に対処しましたが、解決するまで数時間かかってしまいました(画面6)。

 

画面4
画面4 「zabbix_agent2.conf」に「ServerActive=<ZabbixサーバーのIPアドレス>」を追加して、エージェントのサービスを再起動

 

画面5
画面5 Zabbixサーバー側に登録したホストのホスト名を、エージェントの「zabbix_agent2.conf」内のホスト名と完全に一致させる(大文字/小文字は区別されることに注意)

 

画面6
画面6 「アクティブチェック」のステータスが「利用可能」に変化した

 ここまでの作業で、監視サーバー(Zabbixサーバー)と1台のWindows Serverだけですがエージェント(Zabbix Agent 2)監視のためのホスト登録が完了し、ようやく具体的な監視を開始できる状態になったと思います。まだ具体的な監視設定や通知設定はこれからです。LinuxやOSSを扱ったことがある人なら、さほど難しくはないと思うかもしれませんが、問題に遭遇し、その問題に対処するためにトライ&エラーを繰り返すのは、やはりハードルが高いと感じます。特に、LinuxやOSSに不慣れな人には難しいでしょう。

 Zabbixは無料であることが人気の理由の1つですが、無料(タダ)で導入、運用するには、それなりの覚悟とスキルが必要だと感じました。大規模な運用環境に導入するには、企業向け有料サポート(Zabbix Enterpriseサポート&サブスクリプション≪ZABBIX≫)やZabbix認定パートナー企業が提供する有料のコンサルティングサービスや構築サービス、運用保守サービスを利用するべきでしょう。あるいは、自らが有料のトレーニングを受けて、Zabbix技術者(Zabbix認定スペシャリスト)になるしかありません。つまり、無料(タダ)では済まないのです。

 

テンプレート対決: Zabbix v.s. BOM for Windows

 

 Zabbixには「すぐに使えるテンプレート」と謳われる多数のテンプレートが標準で付属しています。そのテンプレートを使って、期待するような監視環境をすぐに用意できるのかどうか、まだ評価していないので現時点で言えることはありません。

 BOM for Windowsにも、よく使用される監視設定をあらかじめパッケージ化した「テンプレート」が標準で付属している他、弊社Webサイトから追加でダウンロードすることもできます。

BOM for Windows Ver.8.0 監視テンプレート一覧

 BOMのテンプレートには、弊社での検証結果に基づいて、しきい値や監視間隔、収集するべきイベントログ、アクション項目(通知や復旧アクションなど)が設定済みとなっており、BOMのソフトウェアのインストール後に自動開始する「初期設定ウィザード」で、手動で目的のテンプレートを、または自動検出機能によりサーバーに適したテンプレートをインポートすることができます(画面7)。そのため、最低限メール送信用のSMTPサーバーと送信元メールアドレス、「メール送信」通知設定での宛先メールアドレスの指定だけで、最短で10分以内に監視をスタートすることができます。

 

画面7

画面7 BOMインストール後の「初期設定ウィザード」で、自動検出されたテンプレートから1つ以上のテンプレートを選択してインポート

 

 BOMのインストールと設定は誰でも直感的に行うことができ、特別なスキルは必要ありません。もちろん、サポート(インシデント制)付きのライセンス製品(BOM for Windowsのライセンス体系)ですから、想定外のエラーがトラブルが発生したとしても、弊社が問題解決をお手伝いします。

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