セイテクエンジニアのブログ かつて山市良と呼ばれたおじさんのブログ メモ. クラスター対応更新(CAU)ってこんな感じ
2024年10月18日配信
執筆者:山内 和朗
「メモ. 必要な機能は標準装備で意外と簡単! Hyper-Vホストクラスターの構築」でHyper-Vホストクラスターの機能概要と「Windows Admin Center(WAC)」を使用した構築方法を紹介しました。今回はWindows Serverのクラスター環境で利用できる「クラスター対応更新(Cluster-Aware Updating《CAU》)」のエクスペリエンスを紹介します。
クラスター対応更新(CAU)は、Windows Server 2012でフェールオーバークラスタリング機能に追加されたクラスターのノード(ホスト、サーバー)の更新管理機能です。CAUを使用すると、アプリケーションの可用性を維持したまま(Hyper-Vホストクラスターの場合は高可用性仮想マシン《クラスター化されたVM》のダウンタイムなしで)、クラスターを構成するノードへの更新プログラムのインストールと、インストールを完了するための再起動を自動化することができます。
クラスター対応更新の概要|Windows Server(Microsoft Learn)
CAUは、Windows Serverのフェールオーバークラスター(Hyper-Vホストクラスターに限定されません)で「CAUの役割」を追加することで利用可能になります。役割の有効化やCAUの実行は、通常、「フェールオーバークラスターマネージャー(ClueAdmin.msc)」から開始できる「クラスター対応更新(ClusterUpdateUI.exe)」ツールやWindows PowerShell(ClusterAwareUpdatingsモジュール→Microsoft Learn)で行えます(画面1)。「Windows Admin Center(WAC)」を導入済みであれば、WACの「クラスターマネージャー」を使用することもできます(画面2)。
画面1 「クラスター対応更新」ツールを使用したCAUの実行
画面2 WACの「クラスターマネージャー」を使用した「クラスター対応更新の役割」の追加
CAUには、クラスターに参加しないActive DirectoryドメインのメンバーのWindows ServerやWindows 10/11にインストールした管理ツール*1(ClueAdmin.mscやPowerShellモジュール、WAC)、つまりクラスターの外部から実行する「リモート更新モード」と、クラスターの各ノードに更新タスクをスケジューリングして実行する「自己更新モード」があります。Hyper-Vホストへの更新プログラムのインストールには再起動が伴うため、状況をリアルタイムに追跡したい場合はリモート更新モードをお勧めします。
*1 Windows 11の場合は「設定|システム|オプションの機能」からRSAT(リモートサーバー管理ツール)のツールをインストールすることができます。
次の動画は、Hyper-Vホストクラスターと同じActive Directoryドメインに参加するWindows 11バージョン24H2クライアントにインストールしたWACの「クラスターマネージャー」を使用して、2ノードのHyper-Vホストクラスターのホスト(Windows Server 2022)にCAUを使用して2024年10月のセキュリティ更新プログラムをインストールした際の状況を紙芝居形式にしたものです。CAUの役割を追加すると、更新プログラムの確認が行われ、各ノードにインストールすることが推奨される更新プログラムの情報が提示されます。動画はその時点から始まります。「インストール」をクリックして開始すると、ノード毎に更新プログラムのダウンロード、インストール、そして再起動が行われます。再起動の際には、クラスター化された仮想マシン(VM)がライブマイグレーションで自動的に移動して退避されるので、高可用性が提供されるVMはオンラインのまま、すべてのノードのOSの更新が完了することがわかるでしょう。
動画 WACを使用したCAUの実行