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vol.94 基本のIntuneタスクを学ぶ-Entra参加デバイスの管理(前編)|はじめてのIntune(5)

2025年03月24日配信
2025年04月23日更新
執筆者:山内 和朗

 前回(vol.93)までに、オンプレミスのドメイン参加WindowsデバイスをMicrosoft Intune(以下、Intune)で管理するのに必要なライセンスを用意しました。今回から、具体的な設定と管理について試していきたいと思います。

 

Intuneで管理するWindowsデバイスの要件

 

 Intuneは、モバイルデバイスやPCのセキュリティとアプリ管理のための、クラウドベースのエンドポイント管理ツールです。Intuneは、マルチプラットフォームに対応し、Windowsはもちろんのこと、Android、iOS、macOS、Linuxの管理にも対応しています。この連載では、「Windows Server Update Services(WSUS)」の代替ソリューションとしての視点でIntuneを評価します。そのため、モバイルデバイスやLinuxの管理、個人所有デバイス(BYOD)については、触れる予定はありません。

 Windowsデバイスの管理に限定すると、Intuneは以下に示すいずれかの接続方法(deviceTrustType、結合の種類)でIntuneに登録された個人所有/会社所有デバイスを管理することができます。また、更新プログラムの管理のためには、デバイスのOSはWindows 10/11 Pro以上(Home以外)である必要があります。また、Intuneの一部の機能(Windows Autopatchなど)については、Windows 10/11 Enterprsie E3以上のライセンスも必要です。Windows 10/11 Homeエディションについては、ワークプレース参加で管理対象にできますが、利用可能な機能は一部に制限されます。MDM(モバイルデバイス管理)機能による基本的な管理に限定されます、更新プログラムの管理はできません。

 

  • ワークプレース参加(Workplace Join) ・・・ 個人所有デバイス(BYOD)向け
  • Entra参加(Entra Join、旧称、Azure AD Join) ・・・ 企業所有デバイス向け
  • Entraハイブリッド参加(Entra Hybrid Join、旧称、Hybrid Azure AD Join) ・・・ オンプレミスのActive Directoryドメインに参加する企業所有デバイス向け

 オンプレミスのWSUSの代替ソリューションとしては、3つ目のハイブリッドID管理環境の構築が必要になります。しかしその前に、Intuneの基本に触れ、慣れるために、Intune試用版の評価ステップ「Intuneタスクを試す > 手順2」以降を進め、Entra参加デバイスの更新管理を試します。

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ユーザーの作成とライセンスの割り当て(Intuneタスクを試す > 手順2)

 

 エンドポイントのデバイスを使用するユーザー(Entra IDアカウント)を作成し、必要なライセンスを割り当てます。それには、Microsoft Intune管理センター(https://intune.microsoft.com/)」にグローバル管理者のIDでサインインし、「ユーザー」ページを開いて、「+新しいユーザー|新しユーザーの作成」を選択します。

 「新しいユーザーの作成」が開くので、「基本」タブでユーザープリンシパル名を設定し、表示名やパスワードを設定します。既定は、「パスワードの自動生成」がチェックされているため、それをクリップボードにコピーして控えておきます(画面1)。なお、自動生成されたパスワードの場合、初回サインイン時、ユーザーにパスワード設定が求められます。

 

 画面1 Microsoft Intune管理センターを使用して、Entraテナントにユーザー(Entra IDアカウント)を作成する
画面1 Microsoft Intune管理センターを使用して、Entraテナントにユーザー(Entra IDアカウント)を作成する

 「プロパティ」タブでは、ユーザーの属性を適宜設定します。「割り当て」タブでは、グループまたはロールを追加できますが、この時点では何も設定しません。最後に「レビューと作成」タブで「作成」ボタンをクリックし、ユーザーを作成します。

 次に作成したユーザーに、ライセンスを割り当てます。この連載で購入したライセンスの場合は、「Enterprise Mobility + Security E3」と「Windows 10/11 Enterprise E3」(日本語表示名は「Windows 10 Enterprise E3」)を割り当てます。それには、Microsoft 365管理センター(https://admin.microsoft.com/)にグローバル管理者のIDでサインインし、「ユーザー > アクティブなユーザー」の一覧から、先ほど作成したユーザーのプロパティページを開き、「ライセンスとアプリ」タブでライセンスを割り当て、「変更の保存」をクリックします。なお、Entra参加やIntuneによる管理のためにWindows 10/11 Enterprise E3(またはE5)が必須なわけではありません。「はじめてのIntune」シリーズでは、最終的な目標としてWindows AutopatchやMicrosoft Connected Cache for Enterprise*1の導入を考えています。Windows 10/11 Enterprise E3はそのためのライセンスです。

*1 vol.76 オンプレミスWSUSの代替になるか? Microsoft Connected Cache for Enterprise(Preview)をプレビュー|Windows Server 2025大特集(13)

 

 Entraテナントのユーザー(Entra IDアカウント)やプロパティの編集は、Microsoft Intune管理センター、Microsoft 365管理センター、Microsoft Entra管理センター(https://entra.microsoft.com/)のいずれからでも可能ですが、ライセンスの割り当てについてはMicrosoft 365管理センターを使用する必要があります(画面2)。ユーザーのアイコンは既定で「<姓の頭文字><名の頭文字>」になりますが、Microsoft Entra管理センターを使用するとユーザーのアイコン(写真)を変更することができます(画面3、画面2のアイコンは変更後のもの)。また、ユーザー自身はマイアカウント(https://myaccount.microsoft.com/)ポータルで自分の写真を設定することができます。

 

画面2 Microsoft 365管理センターを使用して、ユーザーにライセンスを割り当てる
画面2 Microsoft 365管理センターを使用して、ユーザーにライセンスを割り当てる

 

画面3 ユーザーのアイコンは、Microsoft Entra管理センターまたはマイアカウントポータルから管理者またはユーザー自身で変更できる
画面3 ユーザーのアイコンは、Microsoft Entra管理センターまたはマイアカウントポータルから管理者またはユーザー自身で変更できる

 

グループの作成(Intuneタスクを試す > 手順3)

 

 ユーザーやデバイスをグループ化すると、管理を効率化(ポリシーや更新リングの対象化など)できて便利です。グループを作成するには、Microsoft Intune管理センターの「グループ」を開き、「新しいグループ」をクリックします。

 ここでは、セキュリティグループ「myLab Users」を作成し、先ほど作成したユーザーをダイレクトメンバー(割り当て済みメンバー)として登録しました(画面4)。このグループを特に何に使用するという目的は、現時点ではありません。グループの作成方法を学ぶ目的で作成しました。次回は、Intuneへの登録方法によってメンバーを動的に含めることができる、より実用的な動的グループを作成します。更新プログラムや設定の配布は、その動的グループを使用して行う予定です。

 

画面4 エンドユーザーをメンバー(割り当て済みメンバー)として含む「myLab Users」グループを作成した。このグループの用途は特に決まっていない
画面4 エンドユーザーをメンバー(割り当て済みメンバー)として含む「myLab Users」グループを作成した。このグループの用途は特に決まっていない

 

Windowsデバイスの自動登録の設定(Intuneタスクを試す > 手順4)

 

 Intuneに接続するWindowsデバイスを自動的にIntuneに登録するように、Intuneを設定します。なお、Windowsデバイスの自動登録のためには、Entra ID P1ライセンスが必要です。

 Microsoft Intune管理センターで「デバイス|デバイスのオンボーディング > 登録」を開き、「Windows」タブにある「自動登録」をクリックします。「Microsoft Intune」ページが開くので、「MDMユーザースコープ: すべて」を選択し、「Windows情報保護(WIP)ユーザースコープ: なし」を選択して、「保存」ボタンをクリックします(画面5)。

 

画面5 Windowsデバイスの自動登録を設定する
画面5 Windowsデバイスの自動登録を設定する

 

WindowsデバイスのEntra参加(Intuneタスクを試す > 手順5)

 

 Intuneに登録するデバイスは、以下のいずれかのWindowsバージョンを実行している必要があります。

 

  • Windows 10バージョン1607以降
  • Windows 11バージョン21H2以降


 WindowsデバイスのEntra参加を試すために、Windows 11 Enterpriseバージョン24H2をプロダクトキーなしでインストールし、ローカルアカウントでセットアップして、Windows Updateを実行して最新状態にした仮想マシン(VM)を用意しました。つまり、Windowsのライセンス認証はまだ行われていないデバイスです(画面6)。

 

画面6 まだライセンス認証されていないプロダクトキーが未入力のWindows 11 Enterpriseバージョン24H2を実行するVM
画面6 まだライセンス認証されていないプロダクトキーが未入力のWindows 11 Enterpriseバージョン24H2を実行するVM

 Windows 11にローカルアカウントでサインインしたら、「設定」アプリの「アカウント > 職場または学校にアクセスする」を開き、「職場またはアカウントを追加」の横にある「接続」ボタンをクリックします。「職場または学校アカウントのセットアップ」が開くので、「電子メールアドレス」テキストボックスには何も入力せずに、「このデバイスをMicrosoft Entra IDに参加させる」をクリックします(画面7)。

 

画面7 「職場または学校アカウントのセットアップ」で「このデバイスをMicrosoft Entra IDに参加させる」をクリックする
画面7 「職場または学校アカウントのセットアップ」で「このデバイスをMicrosoft Entra IDに参加させる」をクリックする

 Microsoftアカウントのサインイン画面が表示されるので、ここでEntra IDアカウントのメールアドレス(ユーザー名@サブドメイン名.onmicrosoft.com)を入力し、ユーザー作成時に自動生成されたパスワードを入力してサインインします。すると、パスワードの更新が要求されるので、新しいパスワードを設定してサインインします。サインインが完了すると、「これがあなたの組織のネットワークであることを確認してください」と表示されるので、「参加する」ボタンをクリックします(画面8)。

 

画面8 初回サインイン時にパスワードの更新が求められる。サインインが完了すると、デバイスのEntra参加を続行するかどうか確認が求められる
画面8 初回サインイン時にパスワードの更新が求められる。サインインが完了すると、デバイスのEntra参加を続行するかどうか確認が求められる

 「これで完了です。このデバイスは<組織名>に接続しています。」と表示されたら、メッセージに従って、アカウントの切り替えを実行するか、いったんサインアウトして、Entra IDアカウントのメールアドレスと先ほど変更したパスワードを使用してサインインします。WindowsへのEntra IDアカウントによる初回サインイン時に、Windows Helloの設定(PINの設定)と多要素認証(MFA)のセットアップが行われ、Entra参加が完了します(画面9)。

 

画面9 組織アカウント(Entra IDアカウント)による初回サインイン時、Windows Helloのセットアップ(組織の既定のポリシーにより)と多要素認証(MFA)のセットアップ(Microsoftクラウドサービスの認証の既定)が行われ、IntuneにWindowsデバイスが自動登録される

画面9 組織アカウント(Entra IDアカウント)による初回サインイン時、Windows Helloのセットアップ(組織の既定のポリシーにより)と多要素認証(MFA)のセットアップ(Microsoftクラウドサービスの認証の既定)が行われ、IntuneにWindowsデバイスが自動登録される

 

 適切なライセンスの割り当てられたユーザーでサインインしたことにより、Windowsのライセンス認証がアクティブに切り替わりました。ちなみに、Entra参加前にWindows 10/11 Proであった場合でも、Entra参加後には自動的にEnterpriseに切り替わります(アップグレードインストールが行われるわけではありません)。デバイスのEntra参加の状態は、コマンドプロンプトやPowerShellでdsregcmd /status」を実行することで確認できます。また、Microsoft Intune管理センターの「デバイス|Windows|Windowsデバイス」に自動登録されたデバイスを確認できます(画面10)。

 

画面10 Entra参加によりWindows 11 Enterpriseのライセンス認証がアクティブになり、デバイスがIntuneに自動登録された
画面10 Entra参加によりWindows 11 Enterpriseのライセンス認証がアクティブになり、デバイスがIntuneに自動登録された

 

 次回は、今回登録されたWindowsデバイスを動的グループを利用して識別し、更新プログラムの管理を行ってみたいと思います。

 

はじめてのIntune(1)|...|(4)|(5)前編|(6)後編

 

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