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セイテクエンジニアのブログ  かつて山市良と呼ばれたおじさんのブログ  vol.165 2026年(前後)にサポートが終了するMicrosoft製品&サービス&機能

 

 

vol.165 2026年(前後)にサポートが終了するMicrosoft製品&サービス&機能

2025年12月22日配信
執筆者:山内 和朗

 2025年も残すところあと10日で終わります。Microsoft製品とサービス、2025年は10月のWindows 10のサポート終了(EOL/EOS)が大きなニュースでしたが、2026年はどんな予定になっているのか確認しておきましょう。この記事では私が気になったものだけを列挙します。ここに無い製品やサービスについては、以下のドキュメントを参照してください。

 

2026年のサポート終了|Lifecycle(Microsoft Learn)

 

2025年10月

  • Windows 10のサポート終了

  • Microsoft Office 2016/2019のサポート終了

 

 少し前の2025年10月14日、Windows 10の製品ライフサイクルサポート(モダンライフサイクルポリシーの製品、および一部の固定ライフサイクルポリシー製品《LTSB 2015》)が終了しました。

 また、Windows 10のサポート終了のニュースに隠れてあまり注目されていなかったかもしれませんが、固定ライフサイクルポリシーが適用される永続ライセンス製品の「Microsoft Office 2016」と「Microsoft Office 2019」の延長サポートも終了を迎えました。Microsoft Office 2016は10年(メインストリーム5年+延長サポート5年)のサポートが提供されましたが、Microsoft Office 2019は7年(メインストリーム5年+延長サポート2年)でサポート終了が終了します。ちなみに、「Microsoft Office 2021」以降はモダンライフサイクルポリシーに移行し、サポートが5年に短縮されます。固定ライフサイクルポリシーでカバーされるOffice LTSCについても、バージョン2021(Microsoft Office 2021 LTSC)以降は5年のメインストリームサポートのみが提供されます。

ITニュース. Windows 10のサポート終了のお知らせ
Windows 10サポートは 2025 年 10 月 14 日に終了しました|サポート(Microsoft)
Office 2016 と Office 2019 のサポート終了|サポート(Microsoft)

 企業ユーザーは最大3年の商用向け拡張セキュリティ更新プログラム(Extended Security Update《ESU》)を有料(Azure上では無料)で利用できるため、継続使用しているかもしれません。ESUを利用できない場合は、Windows 10を継続使用するべきではありません(画面1)。Windows 10のサポート終了対策はお済でしょうか? 今回は個人(コンシューマー)向けにも有料または無料で1年のESUを購入できるようになりましたが、安全に利用できる期限が1年猶予されるだけで、2026年10月にまた期限が来ることをお忘れなく。サポート終了前後にESUの登録ウィザードやESUの更新プログラムのインストールが失敗するなどの不具合があったようですが*1、11月以降、無事に有料/無料のESUの更新プログラムを取得およびインストールできたでしょうか?

 

Preparing commercial Windows 10 devices for ESUsWindows IT Pro BlogTech Community

 

画面1 ESUを利用できないWindows 10デバイスには、もうセキュリティ更新プログラムは提供されない

画面1 ESUを利用できないWindows 10デバイスには、もうセキュリティ更新プログラムは提供されない。このデバイスには2025年11月17日リリースの「2025-11 x64ベース用のWindows 10 Version 22H2のセキュリティ更新プログラム(KB5072653)」がインストールされたが、これは商用向けESUの不具合を修正するESUライセンス準備パッケージであって、セキュリティ更新プログラムではない。最終ビルドは19045.6456

 

*1 ESU関連の既知の不具合はすべて解決済みです。関連する更新プログラムの一部はESU非登録のデバイスにも11月以降にインストールされます。

  • Windows 10拡張セキュリティ更新プログラム (ESU) 登録ウィザードが失敗する可能性があります(11/11定例外リリースのKB5071959で解決)
  • Windows の設定に正しくない "サポート終了" というメッセージが表示される(11/11 BリリースのKB5068781で解決)
  • 一部のWindows 10バージョン22H2デバイスが商用顧客向けに拡張セキュリティアップデート(ESU)に登録されている場合、2025年11月のセキュリティアップデート(KB5068781)をエラー 0x800f0922(CBS_E_INSTALLERS_FAILED)でインストールできない(11/17リリースのESUライセンス準備パッケージKB5072653で解決)

2026年3月1日

  • AKSにおけるWindows Server 2019のサポート終了

 

 Azure Kubernetes Service(AKS)では、Windows Server 2019、Windows Server 2022、およびWindows Server 2025(現在パブリックプレビュー)をノードプール、およびそのノードプール上にデプロイされるコンテナーのベースOSイメージ(プロセス分離モードのみ)でサポートされています。ただし、Windows Server 2019は、Kubernetesバージョン1.33以降ではサポートされません。そして、Windows Server 2019をサポートする最後のバージョンであるKubernetesバージョン1.32は、2026年3月1日にサポートライフサイクルが終了します。そのため、2026年3月1日以降、Windows Server 2019はAKSではサポートされなくなります。

 

Azure Kubernetes Service (AKS) でサポートされている Kubernetes のバージョン|Azure(Microsoft Learn)
AKS 上の Windows Server についてよく寄せられる質問|Azure(Microsoft Learn)

Announcing Public Preview of Window Server 2025 on Azure Kubernetes Service|Containers(Tech Community)

 

2026年4月14日

  • Microsoft Desktop Optimization Pack(MDOP)のサポート終了

 

 Microsoft Desktop Optimization Pack(MDOP)は、ボリュームライセンス契約者向けのWindowsソフトウェアアシュアランス(SA)特典として無料提供されるツール群です(ISOイメージで提供された最後のバージョンはMDOP 2015、画面2)。MDAPには、以下のコンポーネントが含まれています。これらは、Windows Vista~Windows 10の初期バージョン(画面3)、および当時のWindows Serverバージョンでの利用が想定されたレガシなコンポーネントです(一部はWindows 10/11を正式にサポート)。

 

  • Application Virtualization(App-V)
  • User Experience Virtualization(UE-V)
  • BitLocker Administration and Monitoring(MBAM)
  • Advanced Group Policy Management(AGPM)
  • Diagnostics and Recovery Toolkit(DaRT)
  • Microsoft Enterprise Desktop Virtualization(MED-V) ・・・ 2021年4月13日に延長サポート終了

 

 以前は、コンポーネントごとに固定ライフサイクルサポート期間が設定されていて、2021年4月13日(DaRT 10.0)までにすべてのメインストリームサポートは終了しています。以前に設定されていた延長サポート終了日は、2019年9月に最も長いDaRT 10.0の2026年4月14日に一本化されました(Windows 7に依存するMED-Vを除く)。例えば、App-Vのもともとのサポート終了日は2023年1月10日でした。

 

 App-VとUE-Vは開発終了(非推奨)後も、固定延長サポートの一環として、Windows 10バージョン1607以降のEnterpriseおよびEducationに標準コンポーネントとして組み込まれています。App-VはWindows 11でも動作することがサポートされていましたが、MDOPのサポート終了により、App-Vのサーバーコンポーネントがサポート終了になるため、事実上、利用できなくなると考えたほうがよいでしょう。UE-Vについては、Windows 11のリリース前にメインストリームサポートが終了していたため、Windows 11ではサポートされません。

画面2 SA特典のMDOP 2025には複数のコンポーネントの複数バージョンが収録されているが、それらすべての延長サポートが2026年4月14日に終了(MED-Vは既に終了)
画面2 SA特典のMDOP 2025には複数のコンポーネントの複数バージョンが収録されているが、それらすべての延長サポートが2026年4月14日に終了(MED-Vは既に終了)

 

画面3 DaRT 10.0の回復ツールはWindows 10の初期バージョン(OSビルド10240)がベース。現在のWindows 10/11のイメージを使用して作成を試みたが、作成ツールがOSイメージのデジタル署名を検証できずに失敗した

画面3 DaRT 10.0の回復ツールはWindows 10の初期バージョン(OSビルド10240)がベース。現在のWindows 10/11のイメージを使用して作成を試みたが、作成ツールがOSイメージのデジタル署名を検証できずに失敗した

 

2026年4月30日

  • Exchange OnlineでSMTP AUTH(Basic)廃止

 

 Microsoft 365 Exchange Onlineでは、SMTP AUTHのBasic認証(ユーザー名とパスワードによる基本認証)のサポートが永久的に削除され廃止となる予定です。この廃止措置は2026年3月1日から段階的に行われ、4月30日までに100%完了する予定です。ちなみに、2019年10月以降に作成されたMicrosoft 365テナントではSMTP AUTH(Basic)が既定で無効化されています。現在、テナントでSMTP AUTH(Basic)を有効化してメールクライアントやアプリからのメール送信に利用している場合は、SMTP AUTH(Basic)の廃止後、機能しなくなります。引き続き、SMTP AUTHを使用してメールを送信するにはOAuth(OAuth 2.0)認証に切り替える必要があります。または、OAuth/OpenID Connectを使用するMicrosoft Graph APIに移行してください。

 

Exchange Online to retire Basic auth for Client Submission (SMTP AUTH)|Exchange Team Blog(Tech Community)

 

2026年7月14日

  • SQL Server 2016のサポート終了

  • SharePoint Server 2016/2019のサポート終了

 

 SQL Server 2016はWindows Server 2016との組み合わせで導入されることが多い、データベース製品です。SQL Serverは2016年6月にリリースされたため、2016年10月リリースのWindows Server 2016よりも先にサポート終了を迎えます。SQL Serverについては、バージョン2008以降、最大3年のESUが提供されています。Microsoftからの公式発表はまだだと思いますが、サポートライフサイクルのページを見る限り、SQL Server 2016についても3年のESUが提供されるようです。*2

*2 SQL Server 2016 | LifeCycle(Microsoft Learn)

 

 同じ日にオンプレミス向け製品であるSharePoint Server 2016およびSharePoint Server 2019もサポート終了を迎えます。この製品については、永続ライセンス製品の後継バージョンはありません。オンプレミス向けの後継製品は「SharePoint Serverサブスクリプションエディション(SE)」になります。2021年11月に登場したSharePoint Server SEは、モダンライフサイクルポリシーに従い、毎月の品質更新プログラムと年に2回の機能更新プログラム(最新バージョンは25H2)がリリースされます。サポート期限が設定されない代わりに、最新の状態に更新することがサポートの条件になります(少なくとも1年に1回品質または機能更新プログラムのインストールが必要です)。または、クラウドベースのMicrosoft  365 SharePoint Olineに移行することもでき、Microsoftはそのための移行ツールを提供しています。

 

SharePoint Server サブスクリプション エディションへのアップグレード|SharePoint(Microsoft Learn)
SharePoint 移行ツールの概要 (SPMT)|Microsoft 365(Microsoft Learn)

 

2026年10月1日

  • Exchange OnlineにおけるEWS APIの事実上の廃止

 

 Microsoft 365 Exchange OnlineのExchange Web Services(EWS)は、2018年7月に非推奨となって新しい機能が追加されることはなくなりました。2020年10月には基本認証のサポートが削除されて、モダン認証(OAuth2.0)やMicrosoft Graph APIへの移行が促されました。EWSは現在でも本番運用環境で利用されているかもしれませんが、Microsoftは2026年10月1日より、Microsoft以外のアプリからのEWSへのリクエストをブロックし始めることを発表しています。つまり、アプリ開発者にとっては、事実上、EWSのAPIの廃止です。EWS APIを使用するアプリは、10月以降、正常に動作しなくなる可能性があります。

 

Deprecation of Exchange Web Services in Exchange Online|Exchange(Microsoft Learn)
Retirement of Exchange Web Services in Exchange Online|Dev Blogs(Microsoft)

 

2026年10月13日

  • Windows 11バージョン24H2(HomeおよびPro)のサービス終了

  • Windows 10 Enterprise 2016 LTSBのサポート終了

  • Windows Server 2012/2012 R2 ESU 3年目(最後の年)が終了

  • Windows 10コンシューマー向けESUが終了

  • Microsoft Office 2021/2021 LTSCのサポート終了

 

 Windows 11の各バージョンは、HomeおよびProエディションはリリースから2年間(24か月)、EnterpriseおよびEducationエディションはリリースから3年間(36か月)サポートされます。影響のあるWindowsバージョンを使用している場合は、後継バージョンに移行してください。Windows 10のLTSB(LTSC)バージョンについては、ESUが提供されることはありません。

 

 Windows Server 2012およびWindows Server 2012 R2は、ESUの最後の3年目が終了します。Microsoftが延長しない限り*3、2026年10月のESUの更新プログラムが最後のセキュリティ更新プログラムになります。

*3 Windows Server 2008のライフサイクルおよびWindows Server 2008 R2のライフサイクルについてはAzureでのみ4年目のESU(Extended Security Update Year 4 (Azure only))が提供されました。

 

 最大3年間提供される商用向けWindows 10 ESUとは異なり、個人(コンシューマー向け)ESUはWindows 11への移行期間の猶予として1年限定で提供されるものです。こちらもMicrosoftが延長しない限り、2026年10月のESUの更新プログラムが最後のセキュリティ更新プログラムになります。Windows 11へ移行する猶予はもうありません。2025年10月のWindows 10のサポート終了に向けて、そしてその後もWindows 10デバイスを軽量なLinuxやChromebookに移行しようという記事を見かけますが、移行後の使い慣れていないLinuxやChromebookを安全に使い続けるため、相応の面倒を見ることができますか? 無理して古いデバイスを使い続けるよりも買い替えをお勧めします。もちろん、ちゃんと面倒が見れるなら、今後もそのデバイスを有効活用してください。


 Microsoft Office 2021(Home and Business、Professional Plus、およびMicrosoft Word/Excel/PowerPoint/Access 2021などの単体製品)、およびOffice LTSC 2021については、前述したように、メインストリーム5年(延長サポートなし)でサポートが終了することに注意してください(画面4)。買い切り型の永続ライセンスなら長期間(10年間)使えるからという選択は、Office製品について言えばもう古い考えです。Office製品は、常に最新バージョンを利用できる、サブスクリプションライセンスに移行することをお勧めします。

 

画面4 Office 2021およびOffice 2021 LTSCはまだ新しい製品のように感じるかもしれないが、5年のサポート期間が終わる来年2026年10月13日でサポート終了を迎える
画面4 Office 2021およびOffice 2021 LTSCはまだ新しい製品のように感じるかもしれないが、5年のサポート期間が終わる来年2026年10月13日でサポート終了を迎える

 

2026年11月10日

  • Windows 11バージョン23H2(EnterpriseおよびEducation)のサービス終了

  • PowerShell 7.4(LTS)のサービス終了

 

 Windows 11の各バージョンは、HomeおよびProエディションはリリースから2年間(24か月)、EnterpriseおよびEducationエディションはリリースから3年間(36か月)サポートされます。2026年11月にWindows 11バージョン23H2のEnterpriseおよびEducationに対する2年のサポートが終了します。サポートが終了する前に、後継バージョンに移行してください。

 PowerShell 7.2以降、Microsoft Updateにオプトイン(その他のMicrosoft製品の更新プログラムを受け取る:オン)してあれば、PowerShellはWindows Updateにより自動更新されます(画面5)。Microsoft Updateにオプトインしていない場合は自動更新されないので注意してください。

 

画面5 PowerShell 7.xをインストールしている場合は、Microsoft Updateにオプトインすることで、Windows Updateで自動更新できる

画面5 PowerShell 7.xをインストールしている場合は、Microsoft Updateにオプトインすることで、Windows Updateで自動更新できる

 

2027年1月12日

  • Windows Server 2016のサポート終了

  • Microsoft Hyper-V Server 2016のサポート終了

  • Windows Storage Server 2016のサポート終了


 このブログでも先日まで集中的に連載で取り上げてきたように、Windows Server 2016およびWindows Server 2016ベースのOS(Windows Storage ServerやHyper-V Serverなど)は2027年1月早々にサポート終了を迎えます(画面6、画面7)。Windows Server 2016については、SQL Server 2016と同様に、ESUが用意されることになるでしょう。なお、Microsoft Hyper-V Serverは次のバージョン2019(サポート終了日 2029年1月9日)が最後のバージョンであり、後継バージョンは提供されていません。

連載シリーズ「Windows Server 2016 EOSまであとX 日」(シーズン1)

画面6 Windows Server 2016のサポート終了まであと386日。その後も最大3年間のESUが利用できるはず(公式発表はまだ)
画面6 Windows Server 2016のサポート終了まであと386日。その後も最大3年間のESUが利用できるはず(公式発表はまだ)

 

画面7 Windows Server 2016 Server Coreベースの無償のハイパーバイザー「Microsoft Hyper-V Server 2016」のサポートも終了。こちらはESUの対象外。次のMicrosoft Hyper-V Server 2019が最後のバージョンであり、後継製品はない

画面7 Windows Server 2016 Server Coreベースの無償のハイパーバイザー「Microsoft Hyper-V Server 2016」のサポートも終了。こちらはESUの対象外。次のMicrosoft Hyper-V Server 2019が最後のバージョンであり、後継製品はない

 

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