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vol.217 【新連載】イメージ展開ベースのキッティングはもう限界? Windows 11展開のいま|Windows Autopilot試乗会

2026年07月09日配信
執筆者:山内 和朗

 今回から始まる新連載「Windows Autopilot試乗会」では、OS展開の最新動向を解説し、現在利用可能なWindows 11の展開モデルについて整理しながら、Microsoftが強く推すWindows 10/11の展開技術「Windows Autopilot」および「Windows Autopilotデバイス準備(Device Preparetion)」について、実際にサービスを試用しながら解説していきます。

 

これまでのWindowsデバイスのキッティングといえば...

 

 Windowsクライアントの大量展開、大量PCのキッティングといえば、長年にわたり「Windows展開サービス(WDS)」、またはWDSと「Microsoft Deployment Toolkit(MDT)」を組み合わせたOSイメージ展開が定番でした。1台のデバイスでマスター(ゴールド)イメージを作成し、Sysprepで一般化し、PXEブートで展開する――。企業の情報システム部門やITベンダーにとって当たり前だったこの手法は、Windows 11時代を迎え、大きな転換点に差し掛かっています。

 

マスタイメージ作成がWindows 10以降難しくなった理由

 

 実はその兆候は、Windows 10の時代から既にありました。Windows 10以降、ストア(UWP)アプリが原因でシステム準備ツール(Sysprep)の実行が失敗することが多くなったのです。例えば、Windowsにビルトインされているストアアプリが、Sysprep実行前に更新されたり、ストアアプリを追加でインストールしたりすると、「Sysprepを実行中に致命的なエラーが発生しました」や「SysprepでWindowsのインストールを検証できませんでした」のようなエラーが発生して失敗します。そのため、マスターイメージの作成途中にネットワークを切断したり、タスクやポリシー設定をいじったりして、ストアアプリの問題を対処する必要がありました。この問題を回避したとしても、マスタイメージに事前にストアアプリを追加したり、更新したりできないことは、マスターイメージのフルカスタマイズ(起動直後から最新のOS、アプリでするに開始できる状態)に制限がかかるようになりました。

 なお、以下の記事で検証したように、ストアアプリとSysptepの問題については、最新のWindows 11では改善されているようです。

メモ. Sysprep成功のための「ネット切断」テク、Windows 11ではもう不要?2026年05月22日配信

2026年4月、ライセンスの再イメージ化権の明確化の影響

 

 WindowsクライアントOSの「再イメージング権(再イメージ化権)」は、そもそも、Open Value、 EA (Enterprise Agreement、MPSA(Microsoft Products ans Service Agreement)、旧Open Licenseなど、ボリュームライセンス(VL)契約に含まれるものです。

 現在では、Microsoftのサブスクリプションライセンス(Microsoft 365 E3/E5やWindows 11 Enterprise E3/E5など)やCSP(Cloud Service Provider)など、VL以外のライセンスが増え、主流になりつつあります。これらのライセンスには再イメージ化権は含まれません。しかし、デバイスキッティングの手段として長い間黙認されてきました。それが、2024年6月に以下のように再イメージ化が許可されていないことが明文化されました。

CSP ソフトウェア キーの認証|パートナー センター(Microsoft Learn)
Windows クライアントと Office: CSP は再イメージ化 (複製) を許可していません。また、Microsoft は、Windows Autopilot を有効にするための テクニカル プリセールと展開 に関するコンサルティングを適用するようお客様またはパートナーに案内しています。

 その後も延長措置として再イメージ化が認められてきましたが、その措置も2026年6月末で終了しました。この再イメージ化権に関する明確化は、日本企業で長年続いてきたキッティング文化そのものに影響を与える変更です。Microsoftは、この変更の代替としてこの新連載のテーマである「Windows Autopilot」を案内しています。

 なお、CSPライセンスにおける再イメージ化権の明確化はVL契約には何も影響しません。これまで通り再イメージ化権を使用して、OSをイメージ展開することができます。また、再イメージ化とSysprepを混同しないでください。再イメージ化(権利)はマスターイメージを別の複数のデバイスにクローン展開する(権利)ことであり、Sysprepはマスタイメージを作成するのに使用する一般化ツールに過ぎません。Sysprepの実行が禁止されるなんてことを言っているわけでは全くありません。

 

2026年1月、WDSとMDT周りを取り巻くサポート縮小の影響

 

 2026年1月初め、MicrosoftはMDTの即時ダウンロード提供とサポートの終了を発表しました。既にダウンロード済み、インストール済みの環境が動作しなくなるわけではありませんが、MDTに関する更新プログラム、修正プログラム、サポートを受け取ることはできなくなりました。その時点で最新の、つまり最後のMDTは、2019年1月リリースの「MDTビルド8456(6.3.8456.1000)」であり、そもそもWindows 11の展開はサポート外です(画面1)。

Microsoft Deployment Toolkit (MDT) - 即時提供終了に関する通知|Microsoft Intune(Microsoft Learn)
Microsoft Deployment Toolkit のリリース ノート|Microsoft Intune(Microsoft Learn)

 

画面1 MDTの最後のバージョンとなったビルド8456。Windows 10バージョン1809当時のツールが最新であり、もう入手できないが、もともとWindows 11はサポート対象外

画面1 MDTの最後のバージョンとなったビルド8456。Windows 10バージョン1809当時のツールが最新であり、もう入手できないが、もともとWindows 11はサポート対象外


 Windows 11が登場してから、WDSのOS展開のクライアント機能が部分的に非推奨になっています。具体的には、インストールメディアのboot.wim(sources¥boot.wim)を使用したWDSモードでのWindows 11のセットアップの実行はサポートされなくなりました(画面2、画面3)。また、、CVE-2026-0386の脆弱性対策として、2026年4月のセキュリティ更新以降のWDSサーバーはハンズフリー展開を既定でサポートしなくなりました(画面4)。

Windows 展開サービス (WDS) の boot.wim サポート|Windows(Microsoft Learn)
CVE-2026-0386 に関連する Windows Deployment Services (WDS) Hands-Free 展開強化ガイダンス|サポート(Microsoft)

 

画面2 WDSのクライアント機能は一部廃止されている。具体的には、Windows 11のインストールメディアのboot.wimの使用と、ハンズフリー展開のサポート

画面2 WDSのクライアント機能は一部廃止されている。具体的には、Windows 11のインストールメディアのboot.wimの使用と、ハンズフリー展開のサポート

 

画面3 Windows 11のインストールメディアのboot.wimを使用してPXEブートしたところ。回避策としてWindows 10のboot.wimを使用することもできるが、Windows 11の将来のバージョンでも正常に動作するとは限らない
画面3 Windows 11のインストールメディアのboot.wimを使用してPXEブートしたところ。回避策としてWindows 10のboot.wimを使用することもできるが、Windows 11の将来のバージョンでも正常に動作するとは限らない

 

画面4 2026年4月のセキュリティ更新以降のWDSサーバーはハンズフリー展開のための無人応答ファイルを既定でブロック
画面4 2026年4月のセキュリティ更新以降のWDSサーバーはハンズフリー展開のための無人応答ファイルを既定でブロック。ブロックされた場合、ApplicationイベントにイベントID 270で記録される

 

 なお、Microsoft Configuration ManagerによるOS展開機能は、これまで通り動作し、Windows 11をサポートしています(ただし、MDTとの統合は廃止)。しかし、Microsoft Configuration Managerは統合管理ツール(資産管理、構成管理、更新管理...)であり、OS展開機能はその一部に過ぎません。デバイスのキッティング作業のためだけにこの統合管理ツールを導入するということはないでしょう。


 OSイメージ展開を取り巻くこれらの変化の一方で、Microsoftが強く推進しているのが、Microsoft IntuneとMicrosoft Entra IDを中心とした「Windows Autopilot」です。Windows Autopilotはマスターイメージを使用せず、OEMで最適化されたデバイスをクラウド経由で自動構成する新しい展開モデルです。最近では、従来のWindows Autopilotをさらに簡素化して使いやすくした「Windows Autopilotデバイスの準備(Device Preparation)」が登場しています。

 

Windows Autopilot試乗会 (1)(2)

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