
かつて山市良と呼ばれたおじさんのブログ
セイテクエンジニアのブログ かつて山市良と呼ばれたおじさんのブログ メモ. Windows Serverの新規インストールのために起動可能インストールメディアを作るのはちょっと面倒なので、作らずに済ます裏ワザ
2024年12月17日配信
2025年04月22日更新
執筆者:山内 和朗
Windows Serverを物理サーバーにインストールするためには、Windows Serverセットアップとインストールイメージを含む起動可能DVDまたはUSBメディアを準備する必要があります。でも、インストールイメージ(install.wim)が4GB以上になってしまった、最近のWindows Serverでは少し面倒です。そこで、インストール用起動可能メディアを作らずに、新規インストールを実行する“裏ワザ”を紹介します。
Windows Serverのインストールメディアは、しばらく前からISOイメージとして提供されるようになりました。物理サーバーにWindows Serverを新規インストールするには、ISOイメージをDVDに焼くか、インストール用のUSBフラッシュドライブ(メモリ)を作成する必要があります。対応ドライブがあってもDVDメディアに書き込むのは面倒です。ここ数年、DVDメディアに書き込んだことがないので、正常に書き込めるのかも不安です。
ソフトウェアの提供や更新がオンライン主流になった現在、書き込み可能なDVDドライブを装備していないデバイスがほとんどだと思うので、最近はUSBメモリをインストールメディアとして利用するのが一般的でしょう。その方法については、最近、弊社製品コラムに「Windows FAQ(仮)」として掲載されました。
Windows Serverのインストール用USBメディアの作り方-Windows FAQ(仮)|製品コラム
Windows ServerセットアップをUSBメモリから起動するためには、USBメモリをFAT32ファイルシステムでフォーマットする必要があります。なぜなら、現在主流のUEFIベースのシステムは、FAT32以外のUSBメモリからの起動を通常、サポートしていないからです。FAT32には1つのファイルサイズの上限が4GBという制限があります。Windows Serverのインストールイメージ(¥Sources¥install.wim)は、Windows Server 2016以降、この上限を超えています。そのため、製品コラムでは、「install.wim」を分割して4GBの上限より小さい複数の「install*.swm」としてUSBメモリに格納する手順が説明されています。
コマンドライン操作でファイルのコピーや分割を行うことになるので面倒なのですが、複数台の物理サーバーを新規にセットアップする場合には、インストール用USBメモリを用意しておいたほうがよいでしょう。
実は、製品コラムで説明されている方法ですが、これまで私は全く知りませんでした。というか、さまざまなバージョンのWindowsのセットアップを繰り返し行ってきた私にとって、その必要がなかったからです。ISOイメージさえあれば、その場で何とかなるものです。
まず、USBメモリ(6GB以上*1)やUSB外付けハードディスク(HDDやSSD)をNTFSファイルシステムでフォーマットし、ローカルマウントしたWindows ServerのISOイメージの内容をドライブルートまたはサブディレクトリ(¥DVDなど)に丸ごとコピーします。コピーのために特別な操作は必要ありません。すべて選択してコピーを選択し、コピー先に貼り付けるだけです(画面1)。
*1 一般提供(GA)リリース時の日本語版ISOイメージは約5.72GBでしたが、1月21日(米国時間)にリリースされた更新されたISOイメージ(updated jan 2025)は約6.97GBと、1GB以上大きくなっていることに注意してください。
画面1 USBメモリやUSB外付けハードディスクをNTFSでフォーマットし、ISOイメージの内容を丸ごとコピーする
NTFSでフォーマットした理由は、FAT32では扱えない4GBを超える「¥Sources¥install.wim」をコピーするためです。exFATでフォーマットしてもいけると思いますが、試したことはありません。
もう1つ準備が必要なものがあります。それは、Windowsプレインストール環境(WinPE)ベースの起動可能メディア(DVDまたはUSBメモリ)です。過去に作成したWindowsの「システム修復ディスク」(CDまたはDVD)や「回復ドライブ」(USBメモリ)がある場合、それを利用できます。インストール対象のWindows Serverのバージョンと一致している必要はありませんが、できるだけ最近のWindows/Windows Serverバージョンで作成したものがよいでしょう。Windows 10やWindows 11のメディア作成ツールを使用して作成したDVDやUSBメモリがある場合は、それを使用することもできます。インストール対象に別のWindowsがインストールされており、OSドライブ(C:)を削除してかまわないなら、現在のWindowsのWindows回復環境(WinRE)で再起動して、その環境を利用することもできます。
起動可能メディアが手元にない場合は、手元のWindowsやWindows Serverですぐに作成することができます。Windowsに標準で含まれる「recdisc.exe」を実行すると、CD/DVDメディアにシステム修復ディスクを作成することができます。同じく、Windowsに標準で含まれる「RecoveryDrive.exe」を実行すると、USBメモリを回復ドライブとしてセットアップできます。なお、システムファイルを回復ドライブにバックアップする必要はありません(画面2)。
画面2 Windowsの「recdisc.exe」や「RecoveryDrive.exe」を使用して、システム修復ディスク(CD/DVD)や回復ドライブ(USBメモリ)を作成する
起動可能メディア(DVDまたはUSBメモリ)と、ISOイメージの内容をコピーしたUSBメモリやUSB外付けハードディスクの両方を、インストール対象の物理サーバーに接続し、電源をオンにしたら、ハードウェアの起動デバイス選択メニューを使用して、起動可能メディア(DVDまたはUSBメモリ)から起動します。
システム修復ディスクや回復ドライブから起動した場合は、「キーボードレイアウトの選択|Microsoft IME」「オプションの選択|トラブルシューティング」「トラブルシューティング|詳細オプション」「詳細オプション|コマンドプロンプト」の順番に進んで、WinPEのコマンドプロンプトを開きます。Windowsのインストールメディアで起動した場合は、セットアップ画面が表示されたところで「Shift+F10」キーを押すと、WinPEのコマンドプロンプトが開きます(画面3)。
画面3 システム修復ディスクや回復ドライブから起動したら「コマンドプロンプト」まで進む(画面左)。別のWindowsのインストールメディアから起動した場合は、「Shift+F10」キーでコマンドプロンプトを開くことができる(画面右)
コマンドプロンプトが開いたら、ISOイメージの内容をコピーしたUSBメモリやUSB外付けハードディスクのドライブを探してドライブを切り替え、コピー先の「setup.exe」を実行して「Windows Serverセットアップ」を開始します(画面4)。別のWindowsのインストールメディアから起動したコマンドプロンプトの場合、パス指定なしで「setup.exe」を実行すると、インストールメディア内の「setup.exe」(Windows 10/11のセットアップ)が起動してしまうので注意してください。
画面4 Windows ServerのISOメディアからコピーした先の「Setup.exe」を実行して、「Windows Serverセットアップ」を開始する
あとは通常どおりインストールを進めるだけです。最初の再起動の後は、起動可能メディアとISOイメージの内容をコピーしたUSBメモリまたはUSB外付けハードディスクは取り外してかまいません。
仮想環境が当たり前になった昨今、ベアメタルな物理サーバーに新規にOSをインストールする機会はめったにないと思いますが、私はここ数年、この方法でやっています。
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