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Windows Serverのインストール用USBメディアの作り方-Windows FAQ(仮)

2024年12月13日配信
2025年04月23日更新
執筆者:セイ・テクノロジーズ エバンジェリスト

 Windows Serverのインストールメディアは、最近ではISOイメージとしてのみ提供されています。Windows 10/11のようなメディア作成ツールの提供はありません。物理マシンに新規インストールする場合は、ISOイメージからインストール用の起動可能なDVDメディアまたはUSBフラッシュドライブ(USBメモリ)を準備する必要があります。

 この記事では、Windows Server 2016以降のWindows Serverオペレーティングシステム(OS)を対象に、Windows Serverの新規インストールに対応したブータブルUSBフラッシュドライブの作成方法を紹介します。

 

物理サーバーへの新規インストールには起動可能なインストールメディアが必要

 

 ソフトウェアの提供形態や更新方法がオンライン主流になった今、光学ドライブを備えていないサーバーハードウェアやクライアントデバイスは珍しい存在ではなくなりました。Windowsは機能更新プログラムによってオンラインでアップグレードできます。新規インストールのために、Windowsのダウンロードサイト(Microsoft)でISOイメージやメディア作成ツール(起動可能なインストール用DVDまたはUSBフラッシュドライブの作成が可能)が提供されているため、光学ドライブが無くてもUSBフラッシュドライブから起動してインストールすることができます。

 Windows Serverのインストールメディアもまた、現在はISOイメージとしてのみ提供されています。仮想マシン(VM)環境であれば、ISOイメージをVMのCD/DVDドライブに直接割り当て、DVDドライブから起動して新規インストールを開始できます。しかし、ベアメタル(まっさらな)物理サーバーへの新規インストールではそうはいきません。起動可能なインストール用メディアを準備する必要があります。しかし、Windows Serverには、Windows 10/11のようなメディア作成ツールは提供されていません。

 以下のハードウェア開発者向けドキュメントは、Windows 10/11を対象としたものですが、Windows Serverのインストールメディアの作成にも利用できます。

フラッシュドライブからWindowsをインストールします| Windows ハードウェア開発者(Microsoft Learn)

6GB以上のUSBフラッシュドライブをFAT32形式でフォーマットする

 

 Windows Serverのインストールメディア(この記事ではWindows Server 2025 Evaluation日本語版を使用)をダウンロードしたWindowsまたはWindows Serverで、USBフラッシュドライブを準備します。Windows Server 2016以降のインストールメディアのISOイメージのサイズは5GBを超えています(例: Windows Server 2025日本語版のISOイメージのファイルサイズは5.72GB)。そのため、6GB以上のUSBフラッシュドライブを用意する必要があります。*1

*1 一般提供(GA)リリース時の日本語版ISOイメージは約5.72GBでしたが、1月21日(米国時間)にリリースされた更新されたISOイメージ(updated jan 2025)は約6.97GBと、1GB以上大きくなっていることに注意してください。


 USBフラッシュドライブをコンピューターに接続し、「ディスクの管理」(Diskmgmt.msc)スナップインを開いて、USBフラッシュドライブを「FAT32」ファイルシステムを選択してフォーマット(クイックフォーマット)します(画面1)。フォーマットすると、現在、ドライブに含まれている内容はすべてクリアされることに注意してください。

画面1
画面1 USBフラッシュドライブをFAT32でフォーマットする

 レガシBIOSベースとUEFIベースの両方のデバイスを起動できるようにするためには、ファイルシステムとしてFAT32を選択する必要があります(UEFI環境では、FAT32以外のUSBフラッシュドライブからの起動をサポートしていない場合があります)。

 なお、USBフラッシュドライブが32GBを超える場合、「ディスクの管理」スナップインではFAT32でフォーマットすることができません。その場合は、DISKPARTコマンドでフォーマットしてください。

 

C:¥> DISKPART
DISKPART> LIST VOLUME
DISKPART> SELECT VOLUME <USBフラッシュドライブのボリューム番号>
DISKPART> FORMAT FS=FAT32 QUICK
DISKPART> EXIT

 

ISOイメージの内容をUSBフラッシュドライブにコピーする(FAT32のファイルサイズ制限に注意)

 USBフラッシュドライブをFAT32でフォーマットしたら、あとはISOイメージの内容をUSBフラッシュドライブのルートにコピーするだけです。WindowsまたはWindows ServerにダウンロードしておいたISOイメージをダブルクリック(または右クリックして「マウント」)してローカルドライブとしてマウントし(画面2)、その内容をUSBフラッシュドライブにコピーします。

 

画面2
画面2 ISOイメージ(画面の例はWindows Server 2025 Evaluation日本語版)をマウントする

 しかし、単純にコピーすると確実に失敗します。その理由は、Windows Serverのインストールメディアに含まれる1つのファイル「¥Sources¥install.wim」が、Windows Server 2016以降、FAT32の最大4GBというファイルサイズ制限を超えるようになったからです(例: Windows Server 2025日本語版の「install.wim」は4.91GB)。

 この制限を回避して、ISOイメージの内容をFAT32のUSBフラッシュドライブにコピーするには、コマンドプロンプト(cmd.exe)を開いて次のコマンドラインを実行し、まず、4GBを超える「¥Sources¥install.wim」以外のすべてをコピーします(画面3)。

 

C:¥> ROBOCOPY <ISOイメージのマウント先ドライブ:> <USBドライブ:> /S /MAX:3800000000

 

画面3
画面3 ファイルサイズの上限を指定することで、「install.wim」を除くすべてのファイルをUSBフラッシュドライブにコピーする

 次に、DISMコマンドを次のように実行して、ISOイメージ内の「¥Sources¥install.wim」を、4GBを超えない最大サイズ(以下のコマンドラインでは3800MB)に分割して、USBフラッシュドライブ上の「¥Sources¥install.swm」(および分割された「install2.swm」)に格納します(画面4)。「install.swm」という名前にすると、Windows/Windows Serverセットアップは、自動的にこのファイルをインストールに使用します。

 

C:¥> DISM /Split-Image /ImageFile:<ISOイメージのマウント先ドライブ:>¥sources¥install.wim /SWMFile:<USBドライブ:>¥sources¥install.swm /FileSize:3800

 

画面4
画面4 DISMコマンドを使用してISOイメージ内の「install.wim」を最大サイズ3800MBで分割し、分割後のファイルを「install.swm」としてUSBフラッシュドライブに保存

 

USBフラッシュドライブから物理サーバーを起動する

 

 作成したUSBフラッシュドライブから新規インストールを開始するには、インストール対象のサーバーにUSBフラッシュドライブを接続し、サーバーの電源を居れたら、Esc/F10/F11/F12など起動デバイス選択メニューを開くキーを押して、USBフラッシュドライブを選択します。すると、USBフラッシュドライブから起動が始まり、Windows Serverセットアップへと進みます(画面5)。

 

画面5
画面5 サーバーハードウェアの起動デバイス選択メニューを使用して、USBフラッシュドライブからWindows Serverセットアップを開始する

 

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