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メモ. Windows Server 2025 PAYG(従量課金制)サブスクリプションライセンスの実際の価格

2025年01月17日配信
執筆者:山内 和朗

 「Windows Server 2025大特集」シリーズの第1回では、Windows Server 2025で新たに利用可能になった「Pay-as-you-go」(従量課金制)サブスクリプション購入オプションについて紹介しました。1台のHyper-V仮想マシン(VM)でこのライセンスを2か月間利用してみた結果、実際に課金された料金を報告します。

 

Windows Server 2025のPAYG(従量課金制)サブスクリプションとは

 

 「Pay-as-you-go(PAYG)」ライセンスオプションは、Windows Server 2025の従量課金ベースのサブスクリプション購入モデルであり、その利用料はAzureサブスクリプションを通じて課金されます。詳細については「Windows Server 2025大特集」シリーズの第1回および以下の公式ドキュメントで説明されていますが、料金はAzureのライセンス込みWindows VMと同じライセンスモデルに従い、エディション(Standard/Datacenter)で料金に違いはありません。Azure VMと同様に、サーバーの機能にアクセスするクライアントデバイスにクライアントアクセスライセンス(CAL)は不要です。オンプレミスの従来の永続コアライセンスとは異なり、仮想OSE(Windows Server VMおよびHyper-V分離モードのWindows Serverコンテナー、Datacenterは無制限の仮想OSE、Standardは2仮想OSE)の特典は含まれません。

vol.64 Windows Server 2025の新規インストールと新PAYGライセンス|Windows Server 2025大特集(1)
Azure Arc を使用して Windows Server 従量課金制を構成する|Azure(Microsoft Learn)

 PAYGサブスクリプションライセンスの価格の詳細については、「Windows Server 2025大特集」シリーズの第1回では、具体的な料金については明らかになっていないため、Azureの「料金計算ツール(Microsoft)」で30日分のWindows VMの価格を計算し、「ライセンス込み」と「Azure Hybrid Benefit」を切り替えることでAzure VMにおけるWindowsのライセンス料金がわかるので、それが参考になるのではないかと書きました(画面1)。

 

画面1
画面1 「ライセンス込み」」と「Azure Hybrid Benefit」の差額がPAYGの料金(10,000程度?)の参考になるのではないという考えは検討違いだった

 

 しかし、実際にはまったくの検討違いでした。実際には、もっと低いコストで利用することができました。Microsoftが公表したWindows Server 2025のライセンスと料金の情報によると、PAYGサブスクリプションライセンスは、CPUコアあたり月額33.58米国ドル(0.046米国ドル/時)で利用することができます。

 

Windows Server 2025 ライセンス&料金|Microsoft


 Azure Hybrid BenefitとPAYGの料金に大きな差があるのは、よく考えれば自明のことでした。AzureのWindows Server VMにはOSライセンスが含まれていますが、仮想OSEの特典は含まれません。一方、Azure Hybrid Benefitは1VMに対して最低8コアライセンス(8CPUを超えるインスタンスの場合はそれを満たすコアライセンス)を所有している必要であり、仮想OSEの特典も含まれます。つまり、Datacenterエディションでは無制限の仮想OSEを、Standardエディションでは2つの仮想OSEを実行する権利があります。これに対して、前述のようにPAYGサブスクリプションライセンスは、DatacenterとStandardの区別がなく、仮想OSEの特典は含まれません。ちなみに、物理サーバーの場合は物理コアあたり最低8コア、サーバーあたり最低16コア分のライセンスが必要です。

Windows VMs 向け Azure ハイブリッド特典の検索について|Azure(Microsoft Learn)

 

2仮想CPU(1物理コア)を割り当てたHyper-V VMの1か月のPAYG料金は?

 

 PAYGサブスクリプションライセンスの実際の料金を確認するために、2024年11月後半にWindows Server 2025 Datacenter(Standardでも同一料金)を実行するHyper-V VMでPAYGサブスクリプションライセンスをアクティブ化しました(画面2、画面3)、7日間の無料試用期間を経過した、2024年12月の請求期間(2024年12月12日~2025年1月11日、開始日はサブスクリプションにより異なります)で実際に課金されたPAYGの料金を調べてみました。

 

画面2
画面2 Azure Arcを介してPAYGサブスクリプションライセンスをアクティブ化したHyper-V VM。ライセンスの説明に「Windows(R) Operating System, PAYGO channel」とある

 

画面3
画面3 Azureポータルにおけるライセンスのアクティブ化状態

 2025年12月の請求期間(2024年12月12日~2025年1月11日)の詳細な課金情報を取得するために、「Azure REST API」を使用しました(画面4)。その方法については、以下の製品コラムを参考にしました。

参考:
Azure(従量課金制)の使用コスト監視-BOM for Windows活用例|製品コラム(セイテクエンジニアのブログ)

画面4
画面4 Azure REST APIを使用して2025年12月の請求期間(2024年12月12日~2025年1月11日)の詳細な課金情報を取得し、CSV形式で保存(PowerShellスクリプトをプレーンテキストで表示

 Azureポータルの「サブスクリプション|コスト管理|コスト分析」で請求期間を選択し、取得したCSVの税抜き価格(pretaxCost)の合計と比較すると、完全に一致するため、正しいデータを取得できたことがわかります(画面5)。ちなみに、Azureポータルの「コスト分析」にある「↓ダウンロード」機能は、選択中の請求期間の表または日次データをPNGまたはExcelまたはCSV形式でダウンロードする機能であり、詳細な課金情報(リソースごとの明細)は含まれません。

 

画面5
画面5 選択した請求期間の実際のコストと税抜き価格(pretaxCost)の合計は完全に一致

 リソース名(コンピューター名である「adds2025」)でフィルターすると、「Az Arc Pay As You Go Windows Server - 1 Core License」(product)が数回に分けて課金されていました。そしてその1か月の合計額は、使用量(usageQuantity)「71時間」で「490円」(pretaxCost)程度でした(画面6)。時間あたりに換算すると約「6.9円」、24時間稼働では月額約「5134円」と、Microsoftが公表している料金と矛盾ありません(為替レートを1米国ドル約150円だとして)。課金リストには「Azure Arc - Arc Enabled Servers (VMs)」もありますが、PAYGサブスクリプションライセンスのアクティブ化以外では使用していないからでしょう。課金は「0円」でした。

 

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画面6 PAYGサブスクリプションライセンスの1か月(使用量71時間)は、1物理コア(ソケット)490円程度/VM。月額換算で約「5134円」

 

 このHyper-V VMには2つの仮想CPUを割り当てていますが、物理コア数(ソケット数)は1です。Hyper-V VMでは複数の仮想CPUを割り当てたとしても、物理コア数は1になります。VM環境は物理環境とは異なり、ハードウェアに依存せずに簡単に再作成できますし、必要がないときは停止して別の目的に物理リソースを振り分けることができます。PAYGサブスクリプションライセンスは使用した時間に対してのみ課金され、不要になればいつでも無効化できます。そのため、OSインスタンスの用途によっては、特にVM環境でPAYGサブスクリプションライセンスを選択することで、ライセンスコストを大幅に削減できるということができます。需要によってスケールが変化する環境にも有効でしょう。

 

参考:
サーバー設定仕様書のプロセッサ数と合計コア数について-SSD-assistance FAQ(仮)|製品コラム(セイテクエンジニアのブログ)

 

 物理環境のOSライセンスにPAYGサブスクリプションライセンスを使用できないという制限はないと思いますが(少なくとも、前提条件には含まれません)、その場合、物理コア数分の料金が課金されると思います。仮想OSE特典はありませんが、用途や稼働時間によっては物理環境でもOSライセンスコストを節約する有効な選択肢になるかもしれません。

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