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必要な分だけ購入する「インシデントサポート」とは?年間保守契約との違いとコストメリットを解説

2025年11月27日配信
2025年12月01日更新
執筆者:セイ・テクノロジーズ

運用管理ツールの導入を検討する際、製品の機能や価格だけでなく「サポート費用が毎年いくらかかるのか」は重要な判断材料です。特に中堅企業以上の情シス部門では、長期的なTCO(総所有コスト)を見据えた予算計画が求められます。セイ・テクノロジーズが提供する自立分散型サーバー監視ソフト「BOM for Windows」や高機能ジョブスケジューラー「Job Director」では、年間保守契約を必要としない「インシデントサポート」を採用しています。必要なときに必要な分だけサポートを購入できる仕組みで、多くのお客様が導入後の運用コストを大幅に削減されています。この記事では、インシデントサポートの仕組みと、一般的な年間保守契約との違い、導入時に押さえておくべきポイントをわかりやすく解説します。

 

目次

  1. インシデントサポートが選ばれる3つの理由
  2. インシデントサポートの仕組み
  3. 年間保守契約との比較:どれだけコストが違う?
  4. テクニカルサポートを利用する流れ
  5. インシデントの活用法:トレーニング受講にも使える
  6. 導入前に知っておくべき注意点
  7. よくある質問
  8. まとめ:インシデントサポートが向いている企業とは

 

インシデントサポートが選ばれる3つの理由

1. 年間保守契約が不要、使った分だけのコスト

一般的な運用管理ツールでは、製品を購入した後も年間保守契約が必須となり、毎年固定費が発生します。使っても使わなくても同じ金額を支払い続ける必要があります。また、サブスクリプション型の場合はライセンス費用に保守が含まれていますが、値上げリスクや予算の不確実性がつきまといます。インシデントサポートは、サポートの単位(インシデント)を必要なときに購入する仕組みです。安定稼働している期間はサポートを購入する必要がなく、トラブル発生時やバージョンアップ時など必要なタイミングでのみコストが発生します。実際、約8割のお客様が製品購入時に付属する基本パッケージのインシデントのみで運用されており、追加購入が不要なケースも多数あります。

 

2. 製品の不具合対応は無償、インシデントを消費しない

弊社へのテクニカルサポートへの問い合わせ内容が製品の不具合(バグ)によるものと判明した場合、インシデントは消費されません。つまり、製品起因のトラブル解決に余分なコストがかかる心配はありません。お客様が消費するのは、使い方の質問や環境に起因する問題の切り分けなど、技術的なサポートが必要な場合のみです。

 

3. 緊急時には追加インシデントで優先対応も可能

標準のテクニカルサポート対応は、メールまたはFAXでのやり取りで3営業日以内の回答を目標としています。しかし、業務への影響が大きい緊急トラブルが発生した場合は、追加のインシデントを消費することで1営業日以内の優先対応や電話でのサポートも選択可能です。通常時は低コストで運用し、必要なときだけ手厚いサポートを受けられる柔軟性が、インシデントサポートの大きな特長です。

 

インシデントサポートの仕組み

インシデントとは何か

「インシデント」とは、サポート対応の最小単位です。お客様からの質問1件に対して、複数回のやり取りを含めて問題が解決するまでを1インシデントとしてカウントします。例えば、製品の設定方法について質問し、サポート担当者とのメールのやり取りを3往復して解決した場合でも、消費するのは1インシデントです。ただし、1回の問い合わせに複数の質問が含まれている場合は、質問数に応じたインシデント数を消費します。

 

製品購入時に含まれる基本インシデント

BOM for WindowsJob Director を購入すると、製品の基本パッケージに5インシデント(有効期間3ヶ月)が含まれています

  • BOM for Windows 基本パッケージ:標準価格 148,000円(5インシデント含む)
  • Job Director 基本パッケージ:標準価格 178,000円(5インシデント含む)

導入直後の初期設定や操作方法の確認など、立ち上げ期のサポートはこの基本インシデントで対応できるケースがほとんどです。実際に、多くのお客様がこの5インシデントだけで導入を完了されています。

 

追加インシデントの購入

基本インシデントを使い切った場合や、有効期限が切れた後にテクニカルサポートが必要になった場合は、追加でインシデントパッケージを購入できます。

製品 インシデント 有効期限 標準価格 (税別)
BOM for Windows 5 6ヶ月 100,000円
10 6ヶ月 180,000円
20 1年 300,000円
Job Director 5 6ヶ月 120,000円
10 6ヶ月 216,000円
20 1年 360,000円

※価格は予告なく変更される場合があります。最新の価格は製品価格ページ(BOMJD)をご確認ください。

追加購入のタイミングで多いのは、メジャーバージョンアップ時やトラブル発生時です。安定稼働期には購入の必要がなく、必要なときだけコストが発生する仕組みです。

 

テクニカルサポート対応レベルの選択

標準のテクニカルサポートはメール・FAXでの対応で3営業日以内の回答ですが、消費するインシデント数を増やすことで対応レベルを上げることができます。

回答方法 対応レベル 必要なインシデントサポート数
E-Mail / FAXによる回答 C(3 営業日以内の回答) 1
B(2 営業日以内の回答) 2
A(1 営業日以内の回答) 3
電話による回答 C(3 営業日以内の回答) 2
B(2 営業日以内の回答) 3
A(1 営業日以内の回答) 4

システム停止など業務への影響が大きい場合は、インシデントを追加消費することで迅速な対応を依頼できます。

 

年間保守契約との比較:どれだけコストが違う?

ケース1:安定稼働している環境

製品導入後、大きなトラブルもなく安定稼働している場合を考えてみましょう。

一般的な年間保守契約の場合

  • 使っても使わなくても毎年保守費用が発生
  • 5年間で数十万円〜数百万円の固定コスト

インシデントサポートの場合

  • 基本パッケージの5インシデントのみで対応完了も可能
  • 追加購入なしの場合、5年間の追加コストは0円

 

ケース2:定期的にサポートが必要な環境

年に数回、設定変更や運用相談でサポートを利用する場合でも、年間5インシデント(BOMで10万円、JDで12万円)程度で収まるケースが多く見られます。年間保守契約と比較すると、必要な分だけ購入する方式により、長期的なコスト削減が実現できます。

 

ケース3:バージョンアップ時の集中利用

メジャーバージョンアップ(約4年に1度)の際には、設定移行や動作確認でテクニカルサポートの利用が増える傾向があります。このタイミングで10〜20インシデントを購入し、移行期間を乗り切るという使い方が一般的です。バージョンアップが落ち着けば、再び低コストの運用に戻せるため、予算の波を抑えた運用が可能です。

 

テクニカルサポートを利用する流れ

1. 製品登録とID情報の確認

テクニカルサポートを利用する際は、ユーザーIDとインシデントIDが必要です。

  • BOM for Windows:製品購入後2週間以内にユーザー登録を行い、ユーザーIDの発行を受けてください
  • Job Director R16以降:ユーザー登録は不要です。ライセンス証書にユーザーIDとインシデントIDが記載されています

インシデントIDと付与インシデント数、有効期間は、インシデントサポート契約書またはライセンス証書に記載されています。
※最新のインシデントサポート契約書は「テクニカルサポートへのお問い合わせ」ページ内にて公開しています。

 

2. テクニカルサポート窓口への問い合わせ

テクニカルサポートは、原則としてメールまたはFAXで受け付けています。問い合わせ時には以下の情報を含めてください。

  • ユーザーID
  • インシデントID
  • 質問内容(できるだけ詳細に)

テクニカルサポート窓口で情報を確認後、通常1営業日以内に受付完了の連絡をお送りします。

 

3. 回答とインシデントの完了

ご質問への回答は、通常3営業日以内を目標にお送りします。内容によっては複数回のやり取りが必要になりますが、問題が解決するまで一連のやり取りをもって1インシデントの消費となります。

 

インシデントの活用法:トレーニング受講にも使える

インシデントは、テクニカルサポートだけでなく、製品トレーニング(研修)の受講費としても利用できます

  • BOMユーザートレーニング:4インシデント / 1名
  • Job Directorユーザートレーニング:4インシデント / 1名

「インシデントが有効期限内に余りそう」という場合や、「新しい担当者に製品をしっかり学んでもらいたい」という場合に、トレーニング受講を検討されるお客様もいらっしゃいます。サポート契約で技術者のスキルアップもカバーできる点は、インシデントサポートならではの柔軟性です。また、無償のハンズオントレーニング(詳細は「製品トレーニング」をご確認ください)もご用意していますが、インシデントを利用する場合、個別でのトレーニング開催が可能であり、参加される方のスキルや達成したい目的にあわせたトレーニングをご提供可能です。

 

導入前に知っておくべき注意点

インシデントサポートは柔軟でコスト効率の良い仕組みですが、導入検討時には以下のポイントを確認しておくことが重要です。

1. メジャーバージョンアップは別途購入が必要

インシデントサポートには、製品のメジャーバージョンアップライセンスは含まれていません。メジャーバージョンアップを行う場合は、別途バージョンアップライセンスの購入が必要です。また、メジャーバージョンアップは約4年に1度のペースでリリースされており、多くのお客様は5年サイクルのシステムリプレースに合わせてバージョンアップされています。バージョンアップコストを含めても、年間保守契約と比較して長期的なコストメリットがある点は変わりません。

製品名 標準価格 (税別)
旧パッケージからVer.8.0へのバージョンアップ (基本パッケージ) ¥30,000
旧ライセンスからVer.8.0へのバージョンアップ (1ライセンス) ¥20,000
旧パッケージから R17 へのバージョンアップ (基本パッケージ) ¥40,000
旧ライセンスから R17 へのバージョンアップ (1 ライセンス) ¥25,000

※価格は予告なく変更される場合があります。最新の価格や上記に記載のないオプション製品については製品価格ページ(BOMJD)をご確認ください。

 

2. テクニカルサポート対象外となる事項

テクニカルサポートは、製品の技術的な問い合わせに対応するサービスです。以下の内容はサポート対象外となります。

  • システム設計や運用方針などのコンサルティング
  • お客様の過失や故意による障害の復旧作業
  • 製品以外のハードウェア・ソフトウェアが原因の障害対応
  • 製品の機能追加や改造に関する作業
  • オンサイト作業や出張サポート
  • 動作条件を満たしていない環境でのご使用

これらの内容については、別途個別のご相談となります。

 

3. 製品のサポート期限について

製品のバージョンごとにサポート期限が設定されています。具体的な製品のサポート期限は「製品のサポート期限」をご確認ください。

サポート期限の考え方

  1. 新バージョンリリースから1年後:旧バージョンの販売終了
  2. 販売終了から3年間:通常保守期間(不具合修正やサポート対応を実施)
  3. その後2年間:限定保守期間(サポート対応は継続、但し不具合修正は行わない)
  4. 限定保守期間終了の翌日:そのバージョンのインシデントサポート受付終了

例えば、販売開始から8年経過しても通常保守期間内であれば、フルサポートが受けられます。長期間安心して使える設計になっています。

重要なポイント

  • インシデントIDの有効期限が残っていても、製品バージョンのサポート期限が終了すると、そのバージョンへのサポート受付は停止されます
  • ただし、同じインシデントIDは、保守継続中の同一製品の他バージョンのサポートに使用できます

 

4. 限定保守期間のサポート内容

限定保守期間中は、テクニカルサポートの受付は継続されますが、新たな不具合修正モジュールのリリースは行われません。既知の情報提供や技術的な問い合わせ対応は可能ですが、新たに発見された不具合への対応は保証されない点にご注意ください。長期間の安定運用を前提とする場合は、通常保守期間内での運用計画をお勧めします。

 

5.インシデントサポートの「有効期限」と「利用有効期限」

インシデントサポートには「有効期限」と「利用開始期限」の2種類の期限があります。

有効期限

インシデントサポート製品を初めて利用した日を起算日として設定されます。なお、有効期限は製品により異なりますので、ご注意ください。有効期間内であればいつでもインシデントサポートをご利用いただけますが、有効期限を過ぎてしまいますと、該当インシデントサポート製品は無効となりご利用いただけません。

例:2025年1月1日に「10インシデント(6ヶ月有効)」を「テクニカルサポート(E-Mail、対応レベルC)」でご利用いただいた場合

  • 2025年6月30日まで、残り9インシデントを使用してテクニカルサポートやトレーニング受講が可能です。
  • 2025年7月1日を迎えた時点で、残インシデントは無効となり、ご利用いただけなくなります。
  • 10インシデントをすべて消費してしまった場合、7月1日を待たず、そのインシデントサポートは無効になります。

利用開始期限

インシデントサポート製品には、メーカー出荷時から3年間の利用開始期限を設けています。出荷から3年後までにインシデントサポートをご利用いただかなかった場合、そのインシデントサポートは無効となり、ご利用いただけません。なお、これは利用開始の制限ですので、使用を開始されてからの有効期間には影響がありません。

例:2025年1月1日に出荷されたBOM for Windows 基本パッケージのインシデントサポート(5インシデント:3ヵ月有効)の場合

  • 2027年12月31日までご利用いただかなかった場合、そのインシデントはご利用いただけません。
  • 2027年11月30日に「テクニカルサポート(E-Mail、対応レベルC)」をご利用いただいた場合、残りの4インシデントは2028年2月28日までご利用いただけます。

 

よくある質問

Q1. 製品のサポート期限が切れた後も、購入済みのインシデントは使えますか?

A. そのバージョンについてのサポート受付は停止されますが、インシデントID自体の有効期限が残っている場合は、同じ製品の保守継続中の他バージョンのサポートに使用できます。例えば、Job Director R15のサポート期限が終了した後も、インシデントIDの有効期限が残っていれば、Job Director R16など保守期間内の新しいバージョンのサポートを受けることが可能です。
※インシデントIDは製品ごとに異なります。Job DirectorのインシデントIDでBOM for Windowsのサポートを受けることはできません。

 

Q2. 問い合わせが解決するまでに複数回メールをやり取りした場合、インシデントは何度も消費されますか?

A. いいえ。1つの質問に対して、複数回のやり取りを含めて問題解決に至るまでを1インシデントの消費とします。ただし、問い合わせ内容が製品の不具合(バグ)によるものと判明した場合は、インシデントは消費されません。

 

Q3. インシデントが不足した場合、すぐに追加購入できますか?

A. はい、必要なタイミングでいつでも追加購入が可能です。緊急対応が必要な場合でも、インシデント購入後すぐにサポートをご利用いただけます。

 

Q4. 他社製品から乗り換える場合、インシデントサポートはどうなりますか?

A. 他社製品からの乗り換えの場合、新規購入時からインシデントサポートが適用されます。製品購入時には基本パッケージ(5インシデント含む)が必須となりますので、導入直後からサポートをご利用いただけます。

 

まとめ:インシデントサポートが向いている企業とは

インシデントサポートは、以下のような企業に特に適しています。

  • 運用コストを変動費化したい企業:固定費を削減し、必要なときだけコストをかけたい
  • 安定稼働を前提とした運用を行う企業:導入後のトラブルが少なく、サポート利用が限定的
  • 予算管理を厳格に行いたい企業:年度ごとの保守費用の変動を抑えたい
  • 長期的なTCOを重視する企業:5年、10年単位でのトータルコストを最適化したい

一方で、頻繁にサポートを利用することが想定される場合や、製品を使いこなすまでに手厚いサポートが必要な場合は、導入時に多めのインシデントサポート製品をご購入いただくことをお勧めします。セイ・テクノロジーズのインシデントサポートは、お客様の運用スタイルに合わせて柔軟に調整できる点が最大の特長です。製品の導入を検討される際は、サポート体制についてもぜひご相談ください。

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