Microsoftは2024年12月12日（米国時間）、WebベースのWindows Server、サーバークラスター、Azure Local（旧称、Azure Stack HCI）、Windows 10/11の管理ツール、「Windows Admin Center（WAC）」の最新バージョン「WACバージョン2410」をリリースしました。このバージョンは「モダン化されたゲートウェイ」や「v2」と呼ばれて開発されてきたものです。
Windows Admin Center version 2410 is now generally available!｜Windows Admin Center Blog（Tech Community）
プラットフォームのモダン化とWindows Server 2025対応
WACバージョン2410のフロントエンドのUIは「Angular」（Googleによって開発されているJavaScriptフレームワーク）で構築されており、.NETで構築された「ゲートウェイ」と呼ばれるバックエンドとやり取りして、サーバーやクラスターマネージャーのような従来の管理ツール、「Hyper-Vマネージャー」などのMicrosoft管理ツール（MMC）スナップインと同等、またはそれ以上の管理機能をWebブラウザーから利用可能にします。以前のバージョンはバックエンドが.NET Framework 4.6.2で構築されていましたが、新バージョンは.NET 8（旧称.NET Core）にアップグレードされ、セキュリティ強化と暗号化の改善、HTTP 2のサポートなどが追加され、パフォーマンスが改善されています。.NET Frameworkから.NETへのアップグレードされたことが、「モダン化」や「v2」と呼ばれる理由です（画面1）。
画面1 WACバージョン2410
WACバージョン2410は、各種「ツール」の改善や機能強化に加えて、2024年11月にリリースされたWindows Server 2025への対応が行われています。詳しくは、前掲のアナウンスで確認してください。
既にWACバージョン2311を利用している場合は、新バージョンのリリースが通知され、「設定｜更新」にある「今すぐダウンロード」リンクからインストーラー（WindowsAdminCenterSetup2410.exe）をダウンロードしてすぐに更新を開始できます。WACで自動更新を有効にしている場合は、今後数週間以内に自動更新機能によって更新されるはずです。新規インストールの場合は、以下のURLからインストーラーをダウンロードすることができます。
Windows Admin Centerのダウンロード（Microsoft）
Windows Admin Center｜Microsoft Evaluation Center（Microsoft）
ただし、現時点ではインストールや更新にいくつかの問題を確認しています。特に日本語環境ではインストーラーの日本語が文字化けするので、インストールを思い通りに進めるのはきわめて困難です（画面2）。また、WACバージョン2311からアップデートした場合、旧バージョンのWACがアンインストールされず、WACバージョン2410も正常に動作しない（WACのサイトに接続できない）という問題を確認しています（画面3）。
アップデードの現在の問題が解決しないまま、自動更新機能でWACバージョン2410にアップデートされた場合、アップデートを機にWACが機能しなくなるという懸念があります。
画面2 日本語環境でWACバージョン2410をインストールしようとすると、インストーラーの日本語が文字化けする
画面3 WACバージョン2311からアップデートした場合、WACバージョン2311がアンインストールされずに残り、WACバージョン2410も機能しない
WACバージョン2410のインストールとアップデートを成功させるには
まず、日本語の文字化けの問題は、インストールウィザードの選択肢を識別できないということになります。以下に新規インストールの場合の英語版（左）と日本語版（右）のスクリーンショットを示すので、参考にしてください。アップデートの場合は、設定ページは少なくなりますが、同じ画面を探して判断してください。ちなみに、プレビュー段階でのインストーラーに文字化けの問題はありませんでした。
旧バージョンからのアップグレードの問題は、次の方法で解決できます。まず、「プログラムのアンインストールまたは変更」（appwiz.cpl）を開いて、「Windows Admin Center」（旧バージョンの方）を選択して「アンインストール」を実行します。その後、ダウンロードしたインストーラー（WindowsAdminCenterSetu2410.exe）を再実行して、上書きインストール（つまり、バージョン2410からバージョン2410へのアップデート）します。この方法で、WACバージョン2311の設定（Azure登録のMicrosoft EntraアプリIDや、登録済みサーバーなど）を引き継いだ状態で、最新バージョンが機能するようになります（画面3）。
画面4 旧バージョンの「Windows Admin Center」をアンインストールしてから、WACバージョン2410を上書きインストールする
WACのゲートウェイをAzureに登録していた場合、「Windows Admin Centerの設定と環境を構成します」のページが表示され、WACバージョン2410へのアップデート後にゲートウェイの再登録が求められます。登録に使用していた「Microsoft EntraアプリID」は引き継がれているので、Azureにコードを送信し、アプリケーションを構成します。このとき、WACのアカウントとしてAzureアカウントが設定されていない場合、Azureへの登録に失敗し、「設定｜アカウント」移動するように通知が表示されます。しかし、「Windows Admin Centerの設定と環境を構成します」ページから「設定｜アカウント」にページを切り替えることができません。その場合は、「Azureの登録」タブで「Microsoft EntraアプリID」を控えた上で、Azureへの登録を解除し、「Windows Admin Centerの設定と環境を構成します」ページを閉じます。その後、「設定｜登録」ページからAzureへの登録を行い、控えておいた「Microsoft EntraアプリID」を使用して構成します。
Windows Server 2025の新機能「Windows Admin Center Setup」もＧＡ版に！
Windows Server 2025の新しいサーバーの機能「Windows Admin Center Setup」を使用すると、「WAC（v2）プレビュー」をダウンロード、インストールできます（2024年11月13日時点のバージョン/ビルドは2410/2.2.2.112）。しかし、WAC（v2）のGAリリース時点でWAC（v2）プレビューに対してGAバージョンの通知はありません。手動でWAC（v2）バージョン2410（ビルド2.4.0.0）にアップデートすることはでき、その際はバージョン2311からのアップデートのような問題が発生することなく、設定を引き継いでアップデートできました。
追記）
現在、「Windows Admin Center Setup」を実行すると、ＧＡリリースのＷＡＣ（v2）をダウンロード、インストールされるようになっていました。ＷＡＣ（v2）プレビューが正式版に自動更新されることはないようなので注意してください。
ＧＡ版のアナウンスページのコメント欄を見ると、セットアップが文字化けするという問題以外にも、さまざまな問題が報告されています（2025年1月末までにバグを修正した更新版が提供されるようです）。
インストーラーの日本語（ただし、プレビュー版）との比較はこちら。
メモ. 文字化けの「Windows Admin Center Setup」でインストールを進める方法｜Windowsトラブル解決
※ WAC（v2）バージョン2410のリリースから2か月以上経ちますが、新たな不具合が多数報告される一方で（Windows Admin Center version 2410 is now generally available!のコメント欄を参照）、米国時間2月25日にようやくマイナーアップデートビルド「2.4.1.2」がリリースされました。詳しくは、「ITニュース. Windows Admin Center（v2）2410のマイナーアップデートビルド「2.4.1.2」、1か月遅れでようやくリリース」をを参照してください。
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