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vol.84 ワークグループクラスターとクラスター対応更新(CAU)|Windows Server 2025大特集(21)

2025年02月17日配信
2025年04月25日更新
執筆者:山内 和朗

 前回(vol.83)は、Hyper-Vのワークグループクラスターを構築しました。そして最後に、ワークグループクラスターでのクラスター対応更新(Cluster-Aware Updating、CAU)の制限について触れました。今回は、ワークグループクラスターでも利用できる「自己更新モード」のCAUについて説明します。

 

クラスター対応更新(CAU)の2つのモード

 

 クラスター対応更新(CAU)は、クラスター化されたリソースの可用性を維持したままサーバーのソフトウェアの更新処理(Windows Server、Microsoft Defender Antivirus、.NET Frameworkなどの品質および定義更新プログラム)を自動化する機能です。特に、記憶域スペースダイレクト(Storage Spaces Direct、S2D)を使用するクラスターでは、CAUの使用が推奨されています。

 Hyper-Vホストクラスターの場合は、仮想マシン(VM)をノード間でライブマイグレーションで移動しながら、クラスターを構成するノードを順番に更新し、再起動します。Windows Server 2025でVMのライブマイグレーションがサポートされたことで、Hyper-VのワークグループクラスターでCAUを活用できるようになったのは、大きな改善点と言えるでしょう。

 CAUには、次の2つのモードがあります。自己更新モードは、クラスターのノードにインストールされた「フェールオーバークラスタリングツール」(PowerShellモジュールを含む)の「クラスター対応更新」ツールを、リモート更新モードは「リモートサーバー管理ツール(RSAT)」の「フェールオーバークラスタリングツール」の「クラスター対応更新」ツールを使用します。

 

  • 自己更新モード ・・・ CAU用のクラスター化された役割をクラスターリソースとして構成し、更新を即時実行するか、完全に自動実行するようにスケジュールします。
  • リモート更新モード ・・・ 更新コーディネーターと呼ばれるリモートコンピューター(クラスターの外部のコンピューター)を、「クラスター対応更新」ツールを使用して構成し、手動で更新を実行し、更新状況をリアルタイムで監視できます。

 

 以下のメモでは、Active Directoryドメイン環境の通常のクラスター(メモはWindows Server 2022ベース)における「クラスター対応更新」ツールによる自己更新モードの即時実行と、「Windows Admin Center(WAC)」を使用したリモート更新モードのCAUの実行例を示しました。リモート更新モードは、Active Directoryドメイン環境が必須であり、クラスターの各ノードおよび更新コーディネーターはドメインメンバーである必要があります。

メモ. クラスター対応更新(CAU)ってこんな感じ

自己更新モードによるCAUのスケジュール実行

 

 ワークグループクラスターでは、自己更新モードによるCAUを利用できます。それには、「フェールオーバークラスターマネージャー」を開き、クラスターに接続したら、「構成」にある「クラスター対応更新」をクリックして「クラスター対応更新」ツールを開きます。私の環境では「クラスター対応更新」ツールを開いたときに、「サーバーは使用可能ではありません」とエラーが表示されましたが、それがワークグループクラスターであるからなのかは不明です(このエラーは無視しました)。


 「クラスター対応更新」ツールでは、最初に「クラスターの自己更新オプションの構成」をクリックし、「CAUのクラスター化された役割を、自己更新モードを有効にしてこのクラスターに追加」をチェックして(画面1)、次のページで自己更新スケジュールを構成します(画面2)。ウィザードを進め、最後に「クラスター化された役割の追加: 成功」と表示されるのを確認したら、ウィザードを終了します。CAUに必要なクラスター化された役割は、「フェールオーバークラスターマネージャー」には表示されませんが、「Get-CauClusterRole」または「Get-ClusterResource」コマンドレットで確認することができます(画面3)。

 

画面1 自己更新モードのCAUのためのCAUのクラスター化された役割を追加する。もう一方のオプションはワークグループクラスターでは選択しないこと
画面1 自己更新モードのCAUのためのCAUのクラスター化された役割を追加する。もう一方のオプションはワークグループクラスターでは選択しないこと

 

画面2 自己更新モードのスケジュールを構成する
画面2 自己更新モードのスケジュールを構成する

 

画面3 自己更新モードのスケジュール実行のためのクラスター化された役割(CAUから始まるリソース)
画面3 自己更新モードのスケジュール実行のためのクラスター化された役割(CAUから始まるリソース)

 これで自己更新モードのCAUのスケジュール実行は構成されましたが、構成後は「クラスター更新の準備の分析」を実行して、CAUに必要な要件が満たされているかどうか確認します。例えば、Windowsファイアウォールの「受信の規則」で「リモートシャットダウン」グループの有効化が必要です(画面4)。

 

画面4 「クラスター更新の準備の分析」を実行して、足りていない設定を確認し、必要に応じて追加設定する
画面4 「クラスター更新の準備の分析」を実行して、足りていない設定を確認し、必要に応じて追加設定する

 あとは、スケジュールに従って自己更新モードのCAUにより、更新作業が完全に自動化されます。その実行状況は、「クラスター対応更新」ツールの「進行中の更新プログラムのログ」(更新処理が実行中の場合)や、「過去の更新実行に関するレポートを生成する」で確認することができます(画面5)。

 

画面5 実行中または過去の更新プログラムのインストール状況や結果を確認する
画面5 実行中または過去の更新プログラムのインストール状況や結果を確認する

 

自己更新モードによるCAUの即時実行

 

 自己更新モードを構成した後は、「クラスター対応更新」ツールの「このクラスターの更新プログラムをプレビューする」を実行して、利用可能な更新プログラムを確認し、更新プログラムが見つかった場合は「このクラスターに更新プログラムを適用する」を実行して、自己更新モードのCAUを即時実行(すぐにスケジュールして実行)することができます(画面6)。

 

 画面6 自己更新モードを構成した後は、即時実行してリアルタイムに監視することも可能に
画面6 自己更新モードを構成した後は、即時実行してリアルタイムに監視することも可能に

 

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