かつて山市良と呼ばれたおじさんのブログ
セイテクエンジニアのブログ かつて山市良と呼ばれたおじさんのブログ vol.170 Windows Server 2025のRRASの無視できないバグ|Windows Server 2016 EOSまであと358日
2026年01月19日配信
執筆者:山内 和朗
Windows Server 2016の製品ライフサイクルとサポート終了日(End of LifeCycle《EOL》、End of Support《EOS》)である2027年1月12日までのカウントダウンが進んでいます。Windows Server 2016を後継バージョンに移行しようとする場合、移行先の第一候補は最新のWindows Server 2025ということになりますが、場合によってはWindows Server 2022以前のバージョンを選択したほうがよいこともあります。例えば、使用したい役割や機能の無視できないバグがあり、問題が解消されていないケースです。
今回は、リモートアクセスの役割(ルーティング、DirectAccessおよびVPN)に存在する回避可能な不具合と、同じくリモートアクセスの役割に存在する日本語環境固有の未解決の不具合について紹介します。Azureへの移行は、シーズン2で予定しているテーマの1つですが、リモートアクセスの役割で構築するVPNサーバーは、オンプレミスのネットワークとAzureの仮想ネットワークをサイト間接続するのに使用できます。今回紹介する不具合は、その検証中に遭遇した問題です。
リモートアクセスの役割は、「ルとリモートアクセス(RRAS)」とも呼ばれます。Windows Server 2025のRRASについては、コミュニティフォーラムで「デマンドダイヤルインターフェース」の作成に関連する不具合が指摘されています。具体的には、「ルーティングとリモートアクセス」スナップインでデマンドダイヤルインターフェイス(サイト間VPN接続などで使用)を作成しようとすると、次のようなエラーが表示されて、ウィザードが開始しないという問題です(画面1)。
Windows Server 2025日本語版の場合:
電話帳エントリを作成できません:結合ハンドルが無効です
Windows Server 2025英語版の場合:
A phone book entry cannot be added: The binding handle is invalid.

画面1 デマンドダイヤルインターフェイスを作成しようとしてもこのエラーが表示され、ウィザードが開始しない
この問題はコンピューター名の扱いに関係しているようで、「ルーティングとリモートアクセス」スナップインを「localhost」に接続することで回避できます(画面2、画面3)。

画面2 「ルーティングとリモートアクセス」スナップインで「サーバーの追加」を選択し、「次のコンピューター」を選択して「localhost」を指定する

画面3 「localhost」ノードの「ネットワークインターフェイス」からデマンドダイヤルインターフェイスの作成を開始すると、ウィザードが開くように
もう1つの問題は、Windows Server 2025日本語版固有の問題で、「ルーティングとリモートアクセスサーバーのセットアップウィザード」の完了直後のサービス開始時のエラー発生のメッセージで最初に気付きます。Windows Server 2025日本語版では、「Remote Access Management Service(RaMgmtSvc)」サービスが開始しないという問題があります(画面4)。NET STARTコマンドで確認すると、次のようなエラーが表示されます。Windows Server 2025英語版では、この問題は発生しないことを確認しています。Windows Server 2025日本語版でシステムロケールを日本語(日本)から英語(米国)に変更してみましたが、状況は改善しませんでした。
システム エラーが発生しました。
ドライブ %1 はほとんどいっぱいです。空き容量は %2 バイトです。
ユーザーに警告を出し、不明なファイルを削除してください。
NET HELPMSG 3000 と入力すると、より詳しい説明が得られます。
ちなみに、「NET HELPMSG 3000」を実行すると、“指定された印刷モニターは不明です。”と表示されます。サービスが起動しない問題の原因を示す正しいメッセージとは思えません。

画面4 「ルーティングとリモートアクセスサーバーのセットアップウィザード」の完了直後のサービス開始時のエラー。その後、手動でもRaMgmtSvcサービスを開始できない
RaMgmtSvcサービスは、ログ記録や監視(アカウンティング)に関係するサービスであり、RRASの基本機能(ルーティング、VPNサーバー、NAT)には影響しません。しかし、ログ記録や監視を適切に行えないと、不正アクセスやその試みを監視できないためセキュリティ上大問題です。Windows Server 2025日本語版ではRaMgmtSvcサービスが動作しないため、「リモートアクセス管理コンソール」はRRASサーバーの動作状態を監視できず、“正常に動作していません”と表示します(画面5)。

画面5 Windows Server 2025日本語版ではRaMgmtSvcサービスが動作しないため、監視機能が利用できない
この2つの不具合は、RRASが正常に動作しているWindows Server 2022をWindows Server 2025にインプレースアップグレードした場合にも発生します(画面6)。Microsoftがこの不具合を解決するまで、現在、Windows Server 2022でRRASを運用している場合はWindows Server 2025にアップグレードするのは控えたほうがいいでしょう。新規にRRASサーバーを導入しようという場合は、これらの問題が存在しないWindows Server 2022で構築するべきでしょう。
画面6 Windows Server 2022でRRASが正常に動作している場合でも、インプレースアップグレードすると不具合の影響を受けるように