
かつて山市良と呼ばれたおじさんのブログ
セイテクエンジニアのブログ かつて山市良と呼ばれたおじさんのブログ vol.139 キャッシュノードの使用の監視|Microsoft Connected Cache for E/E 完全導入ガイド(8)
2025年09月22日配信
2025年09月22日更新
執筆者:山内 和朗
「Microsoft Connected Cache for Enterprise and Education(以下、Microsoft Connected Cache for E/E)」のキャッシュノードは、Windows 10以降のネイティブ機能である「配信の最適化(Delivery Optimization《DO》)」のキャッシュサーバーとして機能します。クライアントデバイスがキャッシュサーバーを利用しているかどうか、クライアントデバイス側から確認する方法、および企業や組織全体でキャッシュノードの利用状況を監視する方法を紹介します。
前回(vol.138)は、Microsoft Connected Cache for E/Eのキャッシュノードを、Windows 10/11以降のDOクライアントのキャッシュサーバーとして構成しました。クライアントデバイスからキャッシュサーバーへの接続性は、クライアントデバイスのWebブラウザーまたはwgetコマンドで以下のURLにアクセスし、WebブラウザーでMicrosoftロゴの画像ファイル(Microsoft.png)を取得できること、wgetコマンドでステータスコード「200」が返ってくることで確認することができます(画面1)。このURLは、URI「http://filestreamingservice/files/7bc846
e0-af9c-49be-a03d-bb04428c9bb5/Microsoft.png」のファイルを、明示的に指定したキャッシュサーバー経由でダウンロードします。
http://<キャッシュサーバーのIPアドレスまたはFQDN>/filestreamingservice/files/7bc846e0-af9c-49be-a03d-bb04428c9bb5/Microsoft.png?cacheHostOrigin=dl.delivery.mp.microsoft.com |
画面1 クライアントデバイスからキャッシュサーバーとの接続性を確認する
配信の最適化(DO)はWindows 10/11のネイティブ機能であり、「設定」アプリの「Windows Update > 詳細オプション > 配信の最適化 > アクティビティモニター」で、DOクライアントのダウンロード(およびアップロード)統計情報を確認することができます。このモニターは、その月(統計情報は月初にリセットされます)のソース(ダウンロード元)別の内訳、平均ダウンロード速度、アップロード統計を提供します(画面2)。
このモニターには、ソース別のダウンロードの内訳、平均速度、現在の月のアップロード統計(既定ではローカルネットワーク上のデバイスへのピア配信)が表示されます。Microsoft Connected Cache for E/Eのキャッシュノードの利用は、「Microsoftキャッシュサーバーから」に含まれます。ローカルネットワーク上のデバイス(Windows 10/11の既定)やインターネット上のデバイス(オプション)のピアの使用は、「ローカルネットワーク上のPCから」と「インターネット上のPCから」に分類されます。
「Microsoftキャッシュサーバーから」のダウンロードバイト数は、PowerShellの「Get-DeliveryOptimizationPerfSnapThisMonth」コマンドレットの返す「DownloadCacheHostBytes」値から取得することもできます。
画面2 配信の最適化のアクティビティモニターでその月のダウンロード統計を確認する。オンプレミスのキャッシュサーバーの使用は「Microsoftキャッシュサーバーから」に含まれる
「アクティビティモニター」の「Microsoftキャッシュサーバーから」には、インターネット接続事業者(ISP)によってホストされているMicrosoft Connected Cacheのキャッシュサーバーが使用される場合があります。インターネット上のキャッシュサーバーが利用される場合、インターネット接続事業者から企業や組織のネットワークまでの区間、つまりラスト1マイルのダウンロードトラフィックは最適化されていません。しかし、ローカルネットワーク上のキャッシュサーバーを指定している場合は、オンプレミスのキャッシュサーバーが使用されるはずです。
ローカルネットワーク上のキャッシュサーバーの使用を確認するには、Windows UpdateやMicrosoft 365アプリ、ストアアプリ、Microsoft Edgeなど、Microsoft Connected Cache for E/E対応の更新プログラム確認を開始します。何らかの更新プログラムが見つかり、ダウンロードされたら、PowerShell(管理者権限は不要)で次のコマンドレットを実行します。ChacheHost列でオンプレミスのキャッシュサーバーのキャッシュが利用されていることを確認できるでしょう(画面3)。
PS C:¥> Get-DeliveryOptimizationStatus |Select PreDefinedCallerApplication,Status,CacheHost,SourceUrl |
画面3 Get-DeliveryOptimizationStatusコマンドレットを実行すると、ダウンロードにキャッシュサーバー(CacheHost)のキャッシュが使用されていることを確認できる
Azureポータルの「Connected Cache for Enterprise & Education」ブレードでAzureリソースの「概要」ページを開くと、「Cache Node Summary(キャッシュノードの概要)」と、「Key Metrics(主要なメトリック《指標》)」の2つの定義済みグラフが表示されます(画面4)。
画面4 Azureポータルの「Connected Cache for Enterprise & Education」リソースの「概要」ページは、キャッシュノードの状態とパフォーマンス情報を提供する
「Cache Node Summary(キャッシュノードの概要)」は、過去24時間のキャッシュノードの状態とパフォーマンスの統計情報を示すもので、入力(in)はキャッシュノードのMicrosoftのCDNからのプル、出力(out)はキャッシュノードからWindowsデバイスへの送信を示します。「Cache Efficiency(キャッシュ効率)」は、キャッシュノードのキャッシュされたコンテンツを使用して実現できるクライアント要求の割合を示しており、パフォーマンスが高い場合は90%を超える値を示します。キャッシュノードの状態については、「Cache Node Management > Cache Nodes」ページでも、ステータス(Status: Healthy、Unhealthyなど)、OSの種類(OS: Linux、Windows)、ソフトウェアバージョン、プレビューバージョンからの移行状態(Migrated: Yes、No、N/A)を確認することができます。
定義済みのグラフ「Outbound Traffic(出力トラフィック)」と「Volume By Content Type(コンテンツの種類別データ量)」は、Windowsデバイスへのコンテンツの送信量と、そのコンテンツの種類別*1の送信量を示します。これらのグラフは、期間(6時間~30日)やキャッシュノードを選択して表示させることができます(画面5)。
*1 コンテンツの種類としては、WINDOWS UPDTES+STORE(Windows Updateの更新とストアアプリの更新)、OFFICE UPDATES(Microsoft 365アプリおよびMicrosoft Officeの更新)、EDGE UPDATES(Microsoft Edgeの更新)、INTUNE(Intune Win32アプリ、こちらの記事を参照)の4つを確認しています。
画面5 定義済みグラフは、表示期間やキャッシュノードを簡単に切り替えできる
さらに、定義済みグラフをクリックするか、「監視 > メトリック」を使用すると、グラフをカスタマイズしたり、カスタムグラフを新規作成したり、アラートルールを作成して、電子メールやSMS、音声、Azureアプリへのプッシュ通知を構成したりすることもできます(画面6)。
画面6 定義済みグラフのカスタマイズや、カスタムグラフ/散布図/グリッドの新規作成やアラートルールの作成も可能
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