
かつて山市良と呼ばれたおじさんのブログ
セイテクエンジニアのブログ かつて山市良と呼ばれたおじさんのブログ vol.92 リリースから4か月、あの問題(バグ)のその後|Windows Server 2025大特集フォローアップ
2025年03月17日配信
2025年04月23日更新
執筆者:山内 和朗
※ WAC(v1) バージョン2311からWAC(v2) バージョン2410への設定のエクスポート/インポートによる移行方法について追記しました。
Windows Server 2025が2024年11月1日に正式リリースされてから4か月以上経ちました。この連載で3か月にわたってお送りしたWindows Server 2025大特集(vol.64~vol.85)では、Windows Server 2025で私が確認した数々の問題、バグを指摘しましたが、現在(2025年3月1日時点)、それらの問題がどうなったのかでフォローアップします。
Microsoftが以下のURLで公開している既知の問題の一覧には、リリース前後に確認された3~4つの問題しかありませんでした。その後、複数の既知の問題が追加され、解決済みになったものもあります。最新情報については、Windowsメッセージセンターを確認してください。
Windows Server 2025 の既知の問題と通知|Windowsメッセージセンター(Microsoft Learn)
今回フォローアップするのは“私”の既知の問題一覧にある以下に示す10の問題です。
Windows Server 2025の新機能の1つに、「Windows Updateを使用したアップグレード」というものがあります(※2025年2月末に新機能の一覧から削除されています)。Windows 10やWindows 11の機能更新プログラムのように、Windows Updateを使用して、Windows Server 2019およびWindows Server 2022を対象にWindows Server 2025へのインプレースアップグレードを提供するものです。ただし、Windows Server 2025へのアップグレードが無料で提供されるわけではありません。Windows Server 2025のライセンスは別途用意(購入)するか、ソフトウェアアシュアランス(新バージョンへのアップグレード権を含む)付きのボリュームライセンス契約が必要です。
Windows Server 2025 の新機能 > Windows Update を使用したアップグレード|Windows Server(Microsoft Learn)
しかし、現状、Windows UpdateやSconfigユーティリティを使用したWindows Server 2025アップグレードは利用できない状態です。「Windows Server Update Services(WSUS)」で対象のWindows Serverバージョンの製品と、「Upgrades」の分類を選択して同期しても、Windows Server 2025アップグレード(機能更新プログラム)の存在は確認できていません(画面1)。
画面1 Sconfigユーティリティで機能更新プログラムを検索しても見つからない(画面左)。WSUSでもWindows Server 2025の機能更新プログラムは確認できない(画面右)
実は、Windows Server 2025のリリース直後、自動的にWindows Server 2025へのアップグレードが始まってしまうというトラブルがありました。私はそのトラブルに遭遇することはありませんでしたが、この問題の影響でWindows UpdateやSconfigユーティリティを通じたWindows Server 2025アップグレードの提供は一時停止されました。Windows Updateによるアップグレードの提供は、2025年前半に再開される予定です。詳しくは、Microsoftの公開している既知の問題の「Windows Server 2022 と Server 2019 が予期せず Windows Server 2025 にアップグレードされました」を参照してください。
以下のURLのWindows Server 2025の削除/非推奨機能の一覧では、当初、「Windows PowerShell 2.0エンジン(PowerShell-V2)」が削除の一覧に含まれていました。しかし、1月開催のオンラインセミナー「セイテク・シス管道場 第3回」でも指摘しましたが、実際には削除されてはおらず、これまでどおり、「役割と機能の追加ウィザード」やDISMコマンド、Install-WindowsFeatureコマンドレットでインストールして使用することができました。
Windows Server 2025 以降で削除された機能または開発されなくなった機能|Windows Server(Microsoft Learn)
Features removed or no longer developed starting with Windows Server 2025|Windows Server(Microsoft Learn)
最新の更新された一覧(英語ページは米国時間2025年2月20日に更新、日本語ページには3月1日時点で未反映)では、「Windows PowerShell 2.0 Engine」が削除の一覧から無くなり、変わって非推奨(開発を行っていない機能)の一覧に加えられました(画面2)。単なるドキュメントバグだったのか、Windows Server 2025から削除するはずが、削除し忘れたのかは不明です。少なくとも、実際と公式ドキュメントとの整合性はとれました。他の機能についても、一覧に変更が加えられていたりする(Windows 11バージョン24H2およびWindows Server 2025からのNTLMv1の削除、2025年9月に予定されているKerberosにおけるDESアルゴリズムの削除など)ので最新情報を確認することをお勧めします。
【アーカイブ】セイテク・シス管道場 第3回 評価から始めよう! Windows Server 2025~インストール/アップグレード&トラブル解決~
画面2 「Windows PowerShell 2.0 Engine」は削除の一覧から、非推奨(開発を行っていない機能)の一覧へ移動。その他の機能にも変更あり(NTLMv1削除や2025年9月予定のDESアルゴリズム削除など)
GA(一般提供)リリース時の提供されたWindows Server 2025のインストールメディア(26100.1742ビルドベースのISOイメージ)を使用して、新規インストールを行うと、セットアップの最初に「日本語キーボード(106/109キー)」を選択しても、インストールの途中から初回ログオンして再起動するまで、「英語キーボード(101/102キー)」として認識されてしまう問題がありました。そのため、セットアップの後半でAdministratorのパスワードを設定する際に、一部の記号が意図しない文字で設定されてしまう(@が[など)問題がありました。
vol.64 Windows Server 2025の新規インストールと新PAYGライセンス|Windows Server 2025大特集(1) [2024年11月28日]
この問題は、その後提供された更新されたISOイメージ(updated Nov 2024以降のISOイメージ)で修正されました。ただし、Microsoft Evaluation Centerで提供されてるWindows Server 2025 180日評価版のISOイメージについては、更新版は提供されていないため、この問題の影響を受けます。
Windows Server 2025|Microsoft Evaluation Center(Microsoft)
Azure MarketplaceのWindows Server 2025イメージは英語版(en-us)です。Windows Server 2022以前と同様の方法(「Settings」アプリの「Time & language|Language & resion」から「日本語/Japanese」を追加)で日本語化すると、GUIの一部(「Server Manager」や「Settings」アプリ、デスクトップアイコンなど)が英語表示のまま残るという問題があります。また、この方法で日本語化した場合、「システム準備ツール(Sysprep.exe)」による一般化がエラーで失敗するという問題も確認しています(画面3)。この問題は、2025年2月リリースのWindows Server 2025イメージでも何も改善されていません。
画面3 Windows Server 2022以前と同じ方法で日本語化しても日本語化が中途半端。Sysprepが失敗するという問題もある
Azure VMのWindows Server 2025の日本語化とSysprepの問題については、「設定(Settings)」アプリではなく、言語とオプション機能のISOイメージから日本語言語パックを追加インストールすることで解決できます。言語とオプションの機能のISOイメージは、Visual Studioサブスクリプションおよびボリュームライセンスを通じて入手できます。Windows Server 2025評価版ページ内のリンクから直接ダウンロードすることもできます。詳しくは、以下の記事を参照してください。
vol.65 Windows Server 2025をAzureで評価する|Windows Server 2025大特集(2) [2024年12月2日]
メモ. Azure VMのWindows Server 2025日本語化問題を自分で何とかする [2024年12月3日]
2024年12月12日(米国時間)に一般提供(GA)された「Windows Admin Center(v2)」(以下、WAC (v2) )は、日本語環境においてインストーラーが盛大に文字化するという問題がありました。文字化けした状態では、正しくインストールを進めることは極めて困難です。問題はそれだけではありませんが、ローカライズ、インストールおよび「すべての接続」の問題を修正したマイナーアップデート(バージョン2.4.1、ビルド2.4.2.1)が米国時間2月25日にリリースされました。マイナーアップデートのインストーラーは、文字化けすることなく、インストールを進めることができます(画面4)。Windows Server 2025は新機能として「Windows Admin Center Setup」が追加されていますが、「Windows Admin Center Setup」は現在、問題が修正された新しいインストーラーをダウンロードするようになっています。
ITニュース. Windows Admin Centerバージョン2410一般提供開始、日本語環境への導入には大きな言葉の壁が... [2024年12月17日]
ITニュース. Windows Admin Center(v2)バージョン2410のマイナーアップデートビルド「2.4.2.1」、1か月遅れでようやくリリース [2025年2月28日]
画面4 画面左はGAリリース(ビルド2.4.0.0)のインストーラー、画面右はマイナーアップデート(ビルド2.4.2.1)のインストーラー(インストーラーのバージョンは2.4.1.2)
なお、MicrosoftはWACのサポートポリシーを以下のように定めています。WAC(v2)バージョン2410のリリースは2024年12月12日でしたから、このポリシーに従うなら2025年1月11日には旧バージョンWACバージョン2311のサポートは終了したことになります。
Windows Admin Center サポート ポリシー|Windows Server(Microsoft Learn)
“最新バージョンの Windows Admin Center のみが提供されサポートされることを意味します。ユーザーは、引き続きサポートを受けるには、利用可能になった日から 30 日以内に最新の Windows Admin Center にアップグレードして最新の状態を維持する必要があります。”
しかし、問題の多いWAC(v2)バージョン2410が修正されるまで、バージョンアップをj控えていた人/組織は多いのではないでしょうか。ちなみに、2月28日公開のニュース記事でも触れましたがWAC(v1)からWAC(v2)へのアップグレードは失敗する問題は解消されていません。
3月26日追記) WAC(v1)の接続一覧については、以下の方法でCSVにエクスポートすることができます。エクスポート後、WAC(v1)をアンインストールして、WAC(v2) バージョン240を新規したら、CSVをインポートすることで接続一覧を復元できます。ただし、WAC(v1)とWAC(v2)ではPowerShellモジュールやコマンドレットが変更になっていることに注意してください。以下のドキュメントはWAC(v1)の手順です。
PowerShell を使用して Windows Admin Center の設定を管理する|Windows Server(Microsoft Learn)
Windows Server 2025の「サーバーマネージャー」には、OpenSSH Serverのサービスの有効/無効をワン・クリックで行える新しいオプション「リモートSSHアクセス(Remote SSH Access)」が追加されました。この新しい機能は、残念ながら日本語環境では無効(既定)から有効への切り替えが機能しません。この問題については、Windows Server 2025 Preview版で確認し、その原因を調査して、回避策を示しました。
メモ. Process Monitorを用いたWindows Server 2025のバグ調査報告 [2024年11月8日]
vol.70 Azure Arc/WAC/sshdの簡単セットアップ|Windows Server 2025大特集(7) [2024年12月19日]
この問題については、日本マイクロソフトWindows Supportチームが2月に以下のブログを公開し、回避策(私が示した回避策とほぼ同じもの)を示しています。
Windows Server 2025 日本語環境においてサーバーマネージャー上で "リモート SSH アクセス" の有効化に失敗する事象|Microsoft Japan Windows Technology Support Blog [2025年2月17日]
Windows Server 2025の「Hyper-Vマネージャー」では、新機能として「仮想マシンの新規作成ウィザード」の既定が「第2世代」に変更されました。しかし、ウィザードの「世代の指定」ページの既定の選択が「第2世代」に変更されたものの、ウィザードの以降のページが以前のまま(第1世代向け)変更されていません。そのため、第2世代がサポートしないオプション(DVD物理ドライブや仮想フロッピーディスクなど)を指定すると、仮想マシンの作成に失敗するという問題があります。回避策については、以下の記事を参照してください。
メモ. 最新Hyper-Vの「仮想マシンの新規作成ウィザード」の残念なバグ|Windowsトラブル解決 [2025年1月10日]
この問題にその後、進展はありません。Windows 11バージョン24H2のクライアントHyper-Vの「Hyper-Vマネージャー」も同様の問題を持つため、利用されている方はご注意ください。
Windows Server 2025のServer Coreインストールでは、日本語版であっても、Microsoft IMEが機能しない、つまり日本語の入力や変換ができないという問題を確認しています。この問題にその後、進展はありません。
vol.64 Windows Server 2025の新規インストールと新PAYGライセンス|Windows Server 2025大特集(1) [2024年11月28日]
ネイティブブートVHDXは、物理ディスクに直接、OSをインストールすることなく、OSがインストールされた仮想ハードディスク(VHDX)からOSを起動する機能です。いくつか制限はありますが、クリーンアップが簡単で、物理ディスク上のOSインストールのシステムを壊すリスクがない(ローカルディスクが自動マウントされない)ため、物理環境での評価に最適な方法です。以下の連載記事では、Windows Server 2025がインストール済みのHyper-V仮想マシンのVHDXを使用して、ネイティブブートVHDXで物理サーバーを起動する方法と、新規インストール時にVHDXを作成、接続し、接続されたディスク(VHDX)を選択してインストールする方法を紹介しました。そして、新規インストールの場合は、新しいセットアップの「セットアップオプションの選択」ページで「セットアップの以前のバージョン」に切り替えてインストールする必要があることを示しました。
vol.68 VMのゲストOSイメージで物理サーバーを起動して評価する|Windows Server 2025大特集(5) [2024年12月12日]
Windows Server 2025のセットアップは、Windows 11と共通の新しいものに置き換わりましたが、新しいセットアップを使用して、ネイティブブートVHDX用にWindows Server 2025をインストールしようとすると、インストールが途中で失敗するという問題があります(画面5)。この問題は、最新のISOイメージ(Updated Feb 2025のISOイメージ)の新しいセットアップでも修正されていません。ネイティブブートVHDXはWindows 7 Enterprise(当時はネイティブブートVHDやVHDブートと呼ばれていました)からサポートされている、知る人ぞ知るインストール方法ですが、新しいセットアップの開発者はこの機能をよく知らなかったのかもしれません。ちなみに、Windows 11の新しいセットアップも同じ問題があり、「セットアップの以前のバージョン」に切り替えることで問題を回避できます。
画面5 新しいWindowsセットアップでネイティブブートVHDX環境にインストールしようとしても失敗する
この問題はWindows Server 2022とWindows Server 2025を実行するHyper-V仮想マシンで遭遇した問題です。Hyper-V仮想マシンのゲストOSでHyper-Vの役割を利用可能にするには、仮想マシンの仮想プロセッサのオプションで入れ子になった仮想化(Nested Virtualization)のオプション(ExposeVirtualizationExtensions)を有効にする必要があります。仮想化ベースのセキュリティ(Virtualization Based Security (VBS) )を利用する場合も、このオプションの有効化が必要です。物理環境ではHyper-Vの役割とVBSは問題なく共存できるのですが、入れ子になった仮想化が有効なHyper-V仮想マシンでは、どちらか一方しか有効にできないという問題を確認しました。
メモ. 仮想化ベースのセキュリティ(VBS)の有効化方法(最新版)と最近気づいた問題、疑わしい犯人|Windowsトラブル解決
この問題はその後、何の進展もありません。なお、Windows Server 2016およびWindows Server 2019では、入れ子になった仮想化が有効な仮想マシンでHyper-Vの役割とVBSの共存にこのような問題は発生しません。これらのOSは、Hyper-Vの役割をインストールすると、既定でVBSが有効になります。
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