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vol.176 Azure MigrateによるVM移行ーVMの準備|Windows Server 2016 EOSまであと337日

2026年02月09日配信
執筆者:山内 和朗

 Windows Server 2016の製品ライフサイクルとサポート終了日(End of LifeCycle《EOL》、End of Support《EOS》)である2027年1月12日までのカウントダウンが進んでいます。この連載シリーズのテーマの1つはAzureへの移行です。今回から、前回紹介した「Azure Migrate」を使用したオンプレミスのHyper-V仮想マシン(VM)のAzure VMへの移行を実際に行ってみます。

 

 

まずはアプライアンスを使用しないシンプルな移行から

 
 前回説明したように、Azure Migrateにおいて、Hyper-V VMはエージェントレス(VMにとってのエージェントレス)またはエージェントベースによるAzure VMへの移行がサポートされています。今回は、Azure Migrateアプライアンスに依存しない、最もシンプルなエージェントレスによる移行を実施してみます。Azure Migrateアプライアンスなしで移行できるのは、Hyper-V VMの場合だけです。

 エージェントベースの場合、Hyper-V VMだけでなく、物理サーバーも対象にできますが、この連載のシーズン1で説明したように、物理サーバーはオンプレミスでP2V(物理-仮想)移行ができるため、P2VでHyper-V VMに移行したものも、今回の方法の対象にできます。

vol.158 老朽化物理サーバーは、P2VでHyper-Vへ(前編)|Windows Server 2016 EOSまであと411日
vol.159 老朽化物理サーバーは、P2VでHyper-Vへ(後編)|Windows Server 2016 EOSまであと407日

 Azure Migrateアプライアンスを使用した移行については、エージェントレス移行の後に取り上げる予定です。Azure Migrateアプライアンスを使用すると、Hyper-V環境にある多数のサーバーや物理サーバーを検出、評価して、評価に基づいたエージェントレスの移行またはレプリケーションアプライアンスによるエージェントベースの移行が可能です。
 
 今回は、移行対象のHyper-V VMの準備作業について説明します。この準備作業は、エージェントレス、エージェントベースの両方に共通です。
 

検証環境: 移行元のHyper-Vホストと移行対象のVM

 

 今回は、Windows Server 2016のHyper-Vホスト上で動作する2台の第2世代VMを移行対象にします。それぞれ、Windows Server 2016 Server CoreとUbuntu 24.04 LTSがゲストOSとしてインストールされているVMです(画面1)。ちなみに、Azure Migrateは、Windows Server 2012 R2以降のHyper-Vホスト上にあるVMの移行をサポートしています。

 Azure VMの第2世代VMでサポートされる、WindowsおよびLinuxゲストについては、以下のドキュメントで確認できます。

Azure での第 2 世代 VM のサポート|Azure(Microsoft Learn)

 

画面1 Azure Migrateを使用してAzure VMに移行するWindows Server 2016 Hyper-V上の2台のVM
画面1 Azure Migrateを使用してAzure VMに移行するWindows Server 2016 Hyper-V上の2台のVM

 移行対象としてWindows Server 2016のVMを対象としたのには理由があります。Azure VMに移行することで、2027年1月12日のサポート終了後も、追加の設定やコストなしで最大3年間、セキュリティ更新プログラムを受け取ることができる、Windows Server 2016向けの「拡張セキュリティ更新プログラム(Extended Security Update《ESU》」の対象になるはずだからです(まだ公式の発表はありません)。Azure VMに移行することで、最大3年間、さらに時間的猶予を得ることができるのです。

 Ubuntu 24.04 LTSのVMを対象とした理由は、Linux VMの移行の一般的な手順を、まだ試したことのない私自身が確認したかったからです。

 

ハードウェア依存の排除(TPMとディスク暗号化の無効化)

 

 Azure Migrateに限らず、Hyper-V VMの(仮想)ハードウェアそのままをAzure VMにそのまま移行することはできません。Hyper-VとAzure IaaSは高い互換性はあるものの同じものではないからです。そのため、Hyper-Vホスト間でVMを移行するのとは全く異なります。VMの器である(仮想)ハードウェアが完全に変更になるため、ハードウェア依存のデバイスやその設定は移行できません。Hyper-V VMのハードウェア依存のハードウェアには、vTPMとも呼ばれるVMのトラステッドプラットフォームモジュールがあります。

 以下の連載記事や先月開催のセミナーで紹介したように、Hyper-Vホスト間であれば、vTPMが有効なVMを別ホストに移行することは可能です。Azure VMではvTPMデバイス(およびセキュアブート)を、トラステッド起動をサポートする第2世代VMのサイズファミリでサポートしていますが、それはAzure Iaasが提供する別のハードウェアであるため、既存のHyper-V VMのvTPMの設定とその内容をAzure VMに移行することはできないのです。

vol.155 Hyper-V環境の移行: 移行VMのvTPMエラー問題|Windows Server 2016 EOSまであと421日
【アーカイブ】セイテク・シス管道場 第6回 最新Hyper-V環境へのVM移行とHyper-Vホストに迫る2026年問題|かつて山市良とよばれていたおじさんの定期セミナー

 Windows VMでvTPMを使用したBitLockerによるOSディスクの暗号化が有効になっている場合は、暗号化保護を解除したうえで、vTPMをオフにしておきます(画面2)。Linux VMの場合は、LUKS(Linux Unified Key Setup)などによる、OSディスクの暗号化をオフにしてください。トラステッド起動をサポートする第2世代VMでは、vTPMを使用できるので、BitLockerやLUKSによる暗号化を移行後にセットアップすることは可能ですが、Azureのマネージドディスクでは「サーバー側暗号化(Server-Side Encryption《SSE》」が既定で有効になり、Azureが等価的に暗号化/復号を行うため、通常、VMのゲスト側で暗号化する必要性はありません。なお、AzureではSSEの他に、BitLocker技術を用いる「Azure Disk Encryption(ADE)」を提供していますが、ADEは2028年9月15日に廃止される予定です。

 

画面2 移行元のHyper-V VMでBitLockerが有効になっている場合は、保護を解除し、TPMをオフにしておく
画面2 移行元のHyper-V VMでBitLockerが有効になっている場合は、保護を解除し、TPMをオフにしておく

 

ネットワーク設定はDHCPによる自動割り当てに

 

 Azureの仮想ネットワーク(vNET)のサブネットに接続されるAzure VMは、動的または静的にプライベートIPアドレス(オプションでパブリックIPアドレス)を割り当てることができます。しかし、どちらの場合もIPアドレスの割り当てはAzure DHCPサーバーを使用してAzureによって管理されます。静的なIPアドレスの割り当てを行うには、Azure VMのゲストOSで行わず、Azureポータル、Azure PowerShell(Set-AzNetworkInterfaceIpConfig)、またはAzure CLI(az network nic ip-config)を使用する必要があります。

 Azure VMに移行するWindows、Linux VMのネットワークは、DHCPを使用してネットワーク設定(IPアドレス、サブネットマスク、デフォルトゲートウェイ、優先/代替DNSサーバー)を自動取得するように構成しておく必要があります。

 

リモート管理用接続手段を確保する

 

 Azure VMには、ローカルコンソールにアクセスする手段が提供されません。そのため、ローカルコンソールへの対話ログオンやWindows回復環境(Windows Recovery Environment《WinRM》)との対話、BIOS/UEFI画面へのアクセスはできません。*1
*1 ブート診断によるローカルコンソール表示およびシリアルコンソールによる対話操作は可能。シリアルコンソール経由でWindows VMははEMS(緊急管理サービス)のSAC(Serial Administration Consol)に接続、Linux VMはttyS0ローカルコンソールに接続可能。

 Azure VMに移行するとローカルコンソールは利用できなくなるため、移行前にWindows VMの場合はリモートデスクトップ接続またはSSH接続(Windows Server 2019移行はOpenSSH Serverを標準搭載)、Linux VMはSSH接続などの管理用リモート接続手段を有効にしておきます(画面3)。なお、SSH接続はセキュリティを強化するために、パスワード認証ではなく、公開鍵認証にしてください。

 

vol176_scr03
画面3 ネットワークはDHCP設定にし、リモートデスクトップ(RDP)接続やSSH接続などを有効化し、管理用のリモート接続手段を確保しておく

 

参考情報として

 

 Azure VMで最適に実行するためのWindowsやLinuxゲストの構成については、Azureへのアップロード用にカスタムイメージを準備する手順を説明した以下のドキュメントも参考になります。ただし、この手順は汎用イメージをアップロードしてAzure VMとしてデプロイするためのものであり、Azure Migrateでの移行に必要な手順では全くありません。リモートデスクトップ設定(レジストリによる有効化、キープアライブ設定や再接続オプションなど)、Windowsファイアウォール規則、Linux VMにはcloud-initが必要なこと(Ubuntuには標準搭載)、Linuxディストリビューション固有の要件などを確認しておくと、Azure Migrateによる移行時のトラブル解決の糸口になるかもしれないという意味で紹介したまでです。

Azure にアップロードする Windows VHD または VHDX を準備する|Azure(Microsoft Learn)
Azure でのイメージング用に Linux を準備する|Azure(Microsoft Learn)
Azure での仮想マシンに対する cloud-init のサポート|Azure(Microsoft Learn)

 

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